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スポーツ×デジタルマーケティングの現在位置を探る

「訳すだけで終わらないコンテンツを」ワシントン・ウィザーズのTwitter日本語アカウント運用術


 プラスクラスの平地氏とともに、スポーツ業界のマーケティングの現状と課題、今後について探る本連載。今回は八村塁選手の入団で話題となったワシントン・ウィザーズ(以下、ウィザーズ)が2019年9月30日に立ち上げた、日本語Twitterアカウントの運用について担当者の新川氏に話を聞いた。

日本とウィザーズの懸け橋

平地:今回はウィザーズのデジタルスペシャリストである新川さんに、Twitter運用について話をうかがいます。NBAのチームが日本向けにTwitterアカウントを立ち上げたのも驚きなのですが、何よりまず新川さんがどうやって現在の仕事に就いたのかも非常に興味があります(笑)。

 NBAのチームにおいて、ビジネスサイドで働く日本人はまだ多くはありませんよね。最初に、ウィザーズに入った経緯から教えてください。

新川:私は幼少時代から大学時代まで、日本とアメリカを行き来する生活を送っており、大学卒業後は日本人スポーツ選手の通訳としてキャリアをスタートしました。7年間務めた後、フリーランスとして独立し通訳だけでなくライターとしても活動するようになり、その頃からNBAの仕事を受ける機会が出てきたんです。

ワシントン・ウィザーズ デジタルスペシャリスト 新川 諒氏

 1986年11月5日、大阪府生まれ。2歳から約10年間をシアトル、ロサンゼルスで過ごした。大学から再び渡米し、オハイオ州Baldwin-Wallace Universityを卒業。在学中からMLB球団のインディアンズで広報インターンを2年経験した後に、3球団で計5年間日本人選手の通訳を担当。2015年に日本に帰国後、フリーランスとして活動。DAZN日本事業立ち上げ時のローカライゼーションや、NHK衛星スポーツ中継や楽天TVのNBA中継での通訳を担当した。また、2017年からはシンシナティ・レッズのコンサルタントとしても携わっている。

新川:その中で、2019年6月に八村塁選手が日本人初のNBAドラフト1巡目指名となりウィザーズに入団することがニュースになりました。その後、ウィザーズが日本への発信を強化していくことを決め、NBAの仕事もしたことがあった私にオファーが来たのです。

 オファー時は日本にいたのですが、現地に来てほしいとのことで、2020年2月からは渡米してチームに正式加入していました。

平地:やはりアメリカでの通訳などの就労経験が大きいんですかね。

新川:それもあると思いますが、日本で5年間フリーランスとして仕事をしていたのが大きいと思っています。SNSを運営していく上で、ただ海外のコンテンツを訳すだけでなく、日本とアメリカの文化などを理解し、日本とウィザーズの懸け橋となれることが求められます。

 フリーランスとして、国内外問わず様々なところと仕事をしてきたからこそ、今回のようなチャンスがもらえたと思っています。

日本のNBAチーム=ウィザーズに

平地:ありがとうございます。では、本題に入っていきますが、2019年6月21日(日本時間)は、日本バスケットボール界の歴史に残る日になりました。先ほど新川さんのお話にあったように八村塁選手が日本人初のNBAドラフト1巡目指名を受けたわけですが、Twitterアカウントの立ち上げは9月30日でした。

 この約3ヵ月の間、どのようなやり取りがあり、NBA唯一の日本語Twitterアカウントの立ち上げに至ったのでしょうか。

株式会社プラスクラス 代表取締役 平地 大樹氏

 Webコンサルティング会社プラスクラス代表。プロバスケ選手引退後、人材業界を経験し、Web業界へ。営業活動一切ナシのWebコンサル事業をプラスクラスとして収益化し、現在はプラスクラス・スポーツ・インキュベーション代表として、スポーツ界にWeb/ITを取り入れることを推進している。

新川:まず、NBAドラフトの後、ウィザーズのCCO(Chief Commercial Officer)兼ビジネス部門代表であるジム・バン・ストーンさんが、ワシントンD.C.のキャピタル・ワン・アリーナで行った記者会見で、その可能性を感じました。それから何度か来日もしているんですが、日本のマーケットの可能性が非常に大きく、ウィザーズから日本にもっと情報発信をしていくべきだと感じたようです。

 そのため、私以外にもザック生馬さん、小野口大衛さんがスタッフとして加入し、Twitterアカウントや日本語版のWebサイトの立ち上げに至りました。

平地:日本人のスタッフは3名とのことですが、それぞれどのような役割を担っているのでしょうか。

新川:私以外の2人は日本語コンテンツの制作をメインに携わっています。ザックさんは公式特派員として現場でのインタビューなど、小野口さんは映像編集が担当です。

 一方私は、Twitterアカウントの運用や情報発信に関する戦略設計をしています。Twitterでは、リアルタイム性などの特性を活かした発信が求められるので、試合の前中後でどのようなコンテンツを出していくかを私のほうで考えています。

平地:日本のマーケットの可能性が大きいとのことでしたが、それはtoC(ファン)、toB(スポンサー)どちらの面ででしょうか。

新川:どちらもですね。私たちはウィザーズを非公式の日本のNBAチームにしたいと考えています。八村選手の情報はもちろん、その他にもウィザーズの情報を日本の方に届けていくことで、「NBAのチームと言えばウィザーズ」と最初に想起してもらうことを狙っています。

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、20...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/06/17 10:57 https://markezine.jp/article/detail/33576

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