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商品カテゴリ別・調査データに見るブランド力の理由―NRI BRAND INDEX調査―

曖昧なブランド力をどう評価する?商品価値の今と未来を可視化する新指標「NBI」

 商品やサービス、あるいは企業のブランディングの重要性は年々高まってきている。自社ブランドのポジションやそれに応じた打ち手を正しく知る手段が必要だ。本連載では、野村総合研究所が実施しているブランド力調査「NRI BRAND INDEX」の結果を活用し、同社のマーケティングコンサルティング部がいくつかの商品カテゴリーから、各ブランドの差別化要素やポジショニングを分析。商品のブランディングのポイントを様々な角度から解説していく。第1回は、導入として、ブランドの重要性と「NRI BRAND INDEX」の概要について紹介する。

生活者の価格感度が上昇 ブランド力が重要

 2022年、原料費高騰に伴い、食品、飲料を始めとする多くの商品カテゴリーで値上げラッシュがあった。これにより、消費者は安い商品ブランドへのシフトや購入頻度を抑えるといった意識や行動がみられた。

 この状況を把握するため、2022年9月に野村総合研究所(以下、NRI)は消費財のカテゴリーごとの意識・行動の変化についてアンケート調査を実施。その結果をコレスポンデンス分析という手法を使い、食品や飲料、日用品といったそれぞれの消費財に対しての意識や行動の変化を一つの図にマッピングした。

図1.カテゴリー別価格高騰下での購買行動の変化(コレスポンデンス分析)出所:NRI Insight Signal調査(関東一都六県3,552名対象のWeb調査、2022/9実施)
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図1.カテゴリー別価格高騰下での購買行動の変化(コレスポンデンス分析)
出所:NRI Insight Signal調査(関東一都六県3,552名対象のWeb調査、2022/9実施)

 図1によると、右上の嗜好品は、購入価格に変化はないが買い控えが起こり、右下の魚介や加工肉や果物といった生鮮食品は、類似機能をもつ代替品へ切り替わっていることがわかる。また、左下の日用品は特売やキャンペーン狙いで購入をする傾向がみられた。

 このように生活者の価格に対する感度が高まっているが、相対的に低価格のプライベートブランドがさらに拡大していく状況等を踏まえると、価格で訴求していくことには限界がある。このため、いかに商品の価値を消費者に伝え、価格が少し高くても、自社ブランドを選択してもらえるかが重要になる。

 生活者の価格への感度が高まる一方、高単価・高付加価値商品や一点豪華主義の購買行動も増加している動きも見られる。たとえば、Yakult1000/Y1000は、当該カテゴリーの中で高単価ではあるが大ヒットとなった。他にも家電や時計、自動車といった商品で高価格帯のものの売れ行きが良い。これらの商品は、もちろん機能性が高い場合も多いが、ブランド力の影響も大きい。

ブランドを高める正のスパイラルを作り出す

 筆者が、BtoCの商品やサービスを提供する企業のブランドマネージャーやマーケティング担当者と議論をしていると、ブランドの重要性について理解してはいるものの、ブランド力を高める活動を十分に行えていないという課題を持つ企業が多数見受けられた。

 この要因の一つとして、ブランド力の測定方法がわからないことが挙げられた。「KPIを一つに設定したが、そのKPIが増減した要因までは把握できない」「関連しそうなKPIを複数設定したが、一方のKPIが上昇し、他方が低下した場合など、どう評価すればよいかわからない」などの課題を持っており、自社ブランドの評価をどう把握すればよいかを悩む企業が特に多かった。

 もう一つの要因は、ブランドの短期的な売上目標が優先されがちであることだ。この結果、目先の売上として効果が見えやすい価格訴求の販促を重視してしまうことが多い。しかし、この場合「売るために価格を下げる→ブランド力が低下する→売れにくくなるため価格を下げる」という負のスパイラルに陥り、自らブランド力をより低下させてしまう

 理想は、「ブランド力が高く、価格を下げなくても売れる→ブランド力を高める活動を行うことでブランド力を維持・向上させる」という正のスパイラルに乗せることである。ブランドを負のスパイラルに陥らせないためにも、定期的にブランド力の現状を把握しておくことが重要である。

図2.ブランド力の2つのスパイラル
図2.ブランド力の二つのスパイラル

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この記事の著者

梶原 光徳(カジハラ ミツノリ)

野村総合研究所 マーケティングサイエンスコンサルティング部 グループマネージャー2008年入社。以来、マーケティング×データアナリティクス分野を中心に、民間企業のコンサルティングに従事。社内の新規事業の企画や立ち上げなども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/03/28 07:00 https://markezine.jp/article/detail/41549

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