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プライベートDMPで不動産業界のマーケティングを変える!

 「不動産業界特化型プライベートDMP」をサービスとして提供する業界に新風を吹き込む取り組みを始めたのは「HOME'S」を運営するネクストと、「smarticA!DMP」を提供するALBERTを中心とした開発チームだ。不動産業界のデータエクスチェンジも視野に入れたそのサービスの全体像について両社に話を聞いた。

不動産業界のマーケティングを変えるプライベートDMP「NabiSTAR」

 1997年創業のネクストは、不動産・住宅情報サイト「HOME'S」を中心に“人と住まいのベストマッチング”を実現する事業を展開してきた。現在では、賃貸、新築分譲マンションや戸建住宅から、地域情報や介護施設、保険、引っ越しなど、暮らしに関わる情報やサービスを提供。タイ、台湾、インドネシアなど、海外事業にも積極的だ。

 そのネクストが「プライベートDMP」を導入した。それもDMPを使って自社データの活用を行うだけでなく、不動産業界特化型のDMPを開発し、不動産会社各社へサービス提供するという。今回、株式会社ネクスト DMP・CRM推進室 室長 数野敏男氏と、パートナーとして事業に参画した株式会社ALBERT代表取締役社長 上村崇氏の対談が実現した。

上村:新事業「NabiSTAR(ナビスター)」に、ALBERTのプライベートDMPを採用していただきましたが、そもそもこの事業に取り組むきっかけは何だったのでしょう。

株式会社ネクストHOME'S事業本部 分譲営業部 部長 兼 DMP・CRM推進室室長の数野敏男氏
株式会社ネクスト HOME'S事業本部
DMP・CRM推進室 室長
数野敏男氏

数野:まず、現在のネクストのビジネスは不動産・住宅情報サイト「HOME'S」の運営が中心ですが、これから企業として、さらに成長を続けていくなかで、「HOME'S」に続く新しい事業領域をつくっていきたいというのが根底にありました。

 「HOME'S」はエンドユーザーに向けた不動産情報のマッチングサイトです。一方で我々は多くの不動産会社とおつき合いし、取引をしています。クライアントである不動産会社に対して広告だけではない新しい提供価値を模索していく。いわゆる“BtoB”のサービスや事業を新たに立ち上げたいと考え、中でもDMP事業がひとつの選択肢として挙がりました。

 今はインターネット技術の革新により、企業が保有する顧客データや行動ログデータなど、あらゆるデータを活用することで、個人にフォーカスして情報を最適化していくことができる時代。IT化が遅れがちな不動産業界においても、今後はそれが必要になってくるのではないかと考えました。

上村:NabiSTARは、プライベートDMPを不動産会社に提供し、各社のデータを用いてパーソナライゼーションを実現するマーケティング支援サービスですね。

数野:基本的にはプライベートDMPがサービスの中心です。不動産会社が持っている各種データがひとつのベースになりますが、そこにHOME'Sのサイトを利用しているユーザーの属性情報や行動履歴、これらを掛け合わせ、ユーザーごとに表示する情報・コンテンツの最適化を行う仕組みになっています。

 Cookieをベースに収集する不動産会社保有の自社サイト上のユーザー行動ログ。さらに、反響、来場、契約というアクション時に取得するデモグラフィック情報(CRM情報)。それらとHOME'Sが所有しているユーザー行動ログやCRM情報を掛け合わせて、ユーザー個人の興味・関心や希望条件、住まい探しの検討度合いなどを分析しながら、最適なコミュニケーションを実現するソリューションを提供しています。

「NabiSTAR」が実現する、広告・コンテンツ・メールの最適化

株式会社ALBERT代表取締役社長の上村崇氏
株式会社ALBERT
代表取締役社長 上村崇氏

上村:NabiSTARのサービスについて、もう少し詳しくお話いただけますか?

数野:NabiSTARは3つのサービスから成り立っています。「NabiSTAR AD」はHOME'Sサイト内での広告配信サービスです。ユーザーの検索行動や属性に応じて表示する広告が変わり、自社物件の購入検討層に絞った集客が可能になります。が、これだけだといわゆるHOME'Sサイト内でのターゲティング広告です。

 ここにNabiSTARの仕組みを入れると、クライアント各社のサイト内での行動情報もセグメント化して、HOME'S内で広告配信ができます。将来的には、もっとネットワークを増やして、HOME'S以外の外部サイトでも広告が打てる仕掛けにしていこうと考えています。

 「NabiSTAR Site」はクライアントの自社サイト上でのコンテンツの最適化。自社サイトおよびHOME'Sサイトでのユーザーの行動や属性に応じて、サイトで表示するコンテンツが自動的に変わります。今の多くの不動産会社のサイトはここ10年、根本的には進化していないと言えます。いつ、誰が、何回サイトに訪問しても、売り手側が伝えたいメッセージが常に表示される。NabiSTARを導入することで、ユーザーがまだ見ていないコンテンツに誘導したり、興味のある物件や希望に合った間取りを優先して表示し、サイト閲覧時の回遊率を向上させ、最終的には資料請求や来場予約(コンバージョン)への歩留まりを向上させたいと思っています。

 3つめの「NabiSTAR Mail」はシナリオメール配信です。こちらもユーザーのWeb上での行動、属性や受信したメールに対する開封、クリックといった行動に応じて配信するメールの内容を最適化できます。毎回、配信対象となる全員もしくはセグメントしたユーザーに対し、一律の内容を配信していた従来の不動産業界のメールマガジンを、ユーザーの希望条件、検討度合いに応じて細分化し、開封率やクリック率を向上させます。

上村:そのベースになるのがデータですが、不動産会社各社はどのようなデータを保有し、またどのようなデータ活用が考えられるでしょうか。

数野:不動産業界における自社保有データは大きく「顧客データ」と「物件データ」の2つがあります。これらのデータの活用は前提として、そこに自動車、結婚など、関連業界のユーザーデータを合わせることで、さらに精度の高い分析・活用ができると考えています。住まい探しというのは、人のライフステージと密接な関係がありますからね。

 不動産会社のデータ活用は、自社保有データを深く分析・解析することでサービスに活かしていくかたちになりますが、個々の会社単位、新築マンション販売といった個々の事業単位で集まるデータは決して多くありません。したがって、それらのデータだけでユーザーの動きを深く追いかけることは非常に難しいのです。

 NabiSTARは、HOME'Sを訪れたユーザー情報、行動履歴を活用することで、不動産会社一社では分かり得ない、より深い分析ができるのが最大の特徴です。そのユーザーが、今マンション購入意欲の高いお客様なのか、探し始めたばかりなのか。こういった情報を把握し、それに合わせた内容のメールやサイトのコンテンツの出し分けをしていくことが可能になります。

不動産は“オンリーワン”、同じデータは存在しない

上村:DMPの導入によって、不動産業界のマーケティングはどのように変わるとお考えですか?

数野:まず、マーケティングの考え方が大きく変わります。「どの広告を配信するのか」「どのようなWebサイトを作るのか」ではなく、「どのセグメント(誰)にどんなコミュニケーションをするのか」。マーケティングの対象をマスから個に変えるということを、しっかりと不動産業界の中でやりたい。それを実現するのに、プライベートDMPが必要なのです。

 

 不動産は大量消費財ではありません。不動産は“オンリーワン”。ひとつとして同じ物件はない。だから同じデータは存在しません。オリジナルのデータを大事にしながら、総合的なデータを分析したり、傾向値をしっかり読んだりすることが必要になってきます。

 家探しをする人はどういう行動、どういう心理、どんなきっかけで動くのか。そのときにどのようなサービスをしたら、家を買うときの気持ちが高ぶるのか、購入の決断ができるのか。こうした状況の把握や分析にプライベートDMPを活用し、不動産業界のロールモデルとなるようなカスタマージャーニーを構築し、業界のマーケティングを支援していきたいと思っています。

スモールスタートで始められる「smarticA!DMP」

上村:「NabiSTAR」のシステムを構築するにあたって、多くの会社を検討されたのでしょうか。

数野:正直、相当検討しました(笑)。いわゆる日本国内のDMPベンダーといわれる企業にはほとんど話を聞いたと思います。

上村:DMPのシステムといっても、国内に多いのはどちらかというと広告配信に特化したDMPですよね。

数野:そのとおりです。しかし、我々がやりたいのは広告だけではなく、追客精度や顧客満足度向上などクライアントの複数の課題解決をしていくこと。ですから、カスタマイズ性、独自性とともに、分析が高いレベルで実現できるDMPを主眼に検討しました。

上村:NabiSTARに採用していただいた「smarticA!DMP」は6つの機能を包括したシステムです。

 データマイニングエンジンで計算された結果をもとにキャンペーンマネジメントの仕組みが走り、メールやウェブサイト上のコンテンツを個々のユーザーに最適化しています。さらに広告DMPとシームレスに連携し、インターネット広告をCRMデータに基づいて最適化することもできます。smarticA!DMPは、マーケティングオートメーションの実現のために必要な仕組みを網羅的に提供しています。

 また、自社開発したシステムなので、クライアント企業のビジネスモデルやシステム構成に合わせて自由にカスタマイズできるという、他社のパッケージ製品にはない強みがあります。

※画像をクリックすると、拡大表示します。

 また、基本的にはクラウドサービスなので、「スモールスタート、スケーラブル」。小さく始めて大きくすることもできます。「カフェテリア方式」と呼んでいるのですが、smarticA!DMPの6つのコアシステムを全部入れる必要はありません。メール配信部分など既に入っているシステムがある場合はそれを活かして、必要な部分だけを選択的に入れていただくことができる。カフェテリアで食べたいものだけを取るのと同じ仕組みです。

数野:我々がsmarticA!DMPを選んだポイントはいくつかあります。メールやウェブサイトへもサービス展開できるデータベースとしての中立性、ほかのツールとの連携を踏まえた汎用性、データセラーDMPなどの外部データを取り込める拡張性。ALBERTはこういった総合力が非常に高いと感じています。

 上村社長をはじめ、プロジェクトのメンバーは提案力や分析力がある。新規事業ですべてが手探り状態で進めていく中で、新しい発想や意見を出してくれる。これがALBERTを選んだ一番大きな理由です。

 また、NabiSTARはsmarticA!DMPをメインにして、メール配信やコンテンツ最適化など、複数の会社を含めたチームを作って、不動産業界向けのカスタマイズをした独自の仕組みを構築しています。我々としては「不動産業界特化型DMP」ができたと自負しています。

不動産業界のデータエクスチェンジ構想も視野に

上村:すでにNabiSTARは試験提供を開始していますが、感触はいかがでしょう。

数野:プレセールスから4か月で8社、20物件で稼働しています。当初は、分譲マンションデベロッパーを中心に提供しており、将来的には流通仲介会社や、賃貸会社を含めた不動産業界全体に向けて提案をしていくことも考えています。

 不動産会社の多くは自社データの活用に課題を抱えています。ユーザーが今どういう状況にあるのかを可視化することで新たなサービスが提供でき、今までにない消費者とのコミュニケーションが可能ということで多くのクライアントの共感を得ています。

上村:将来の構想についてはどのようにお考えなのでしょうか。

数野:NabiSTARを活用したプライベートDMPの将来構想として、3つのステップがあります。

 現状のSTEP1では、HOME'Sのデータを不動産業界に展開しながら、個々の会社単位では難しい、深いレベルの分析や施策を実現して課題解決する。HOME'Sデータと各不動産会社、1対1の関係で各社の課題解決をしていく段階です。

 STEP 2は、NabiSTARを利用している各社間の横方向での情報共有や相互利用の段階です。これによってデータの精度がさらに高まるので、この拡大を図っていきます。

 不動産業界では、複数社がジョイントベンチャー(JV)でプロジェクトを組むことが多く、競合であってもプロジェクトでは同じ顧客データを活用しながらサービスをしている。ユーザーのインターネット上での動きが重視される中で、各社が個人を囲い込むのではなく、逆に情報を提供し合うことで、さらにサービスを拡大し、不動産業界全体がより良い方向に向かえるのではないでしょうか。もちろん情報の利用の仕方や、各社のプライバシーポリシー、ユーザーからの個人情報の利用許諾など法的な問題をクリアした上での話になります。

 STEP 3では、不動産業界の様々なデータが集まってきたところで、ほかの業界とのデータエクスチェンジによる相互活性化を目指していきたいですね。例えば車・家具を購入したオーディエンス、結婚式を検討しているオーディエンスのデータなどをNabiSTARの持つ不動産業界データとエクスチェンジすることによって、新しいサービスやビジネスにも発展していくのではないかととらえています。

不動産業界の課題を新サービスで解消したい

上村:果敢に新規事業を立ち上げていますが、NabiSTARが大きくなることで、主軸であるHOME'S事業にも良い影響がありそうですね。

数野:そうですね。HOME'Sから出発して、そこでは集められなかったデータを集めることによって、HOME'Sのサービスもレベルアップする。相乗効果も想定しながら進めていきたいです。

 僕の持論になりますが、メディアはメディアの提供だけではなくて、そこで培ったデータ・ノウハウを用いてクライアントの課題解決につながるような、ハイエンドなコンサルティングとそのオペレーション(運用)サポートを同時に行っていくことが一番のサービス提供につながっていくと考えています。メディア運営により得たデータとDMPに蓄積された企業データを融合し、さらに外部のオーディエンスデータなどを活用することでそれが実現できると思っています。不動産業界にはオンラインもオフラインもまだまだ様々な課題があるので、それを解消していくサービスをネクストとしてもどんどん作り上げていきたいです。

上村:ALBERTもそのお手伝いをしていけたらと思っています。今日はありがとうございました。

DMP構築・運用を検討中なら、
スモールスタートスケーラブルなALBERTの「smarticA!DMP」

ビッグデータ時代のマーケティングに必要不可欠なシステムとして、注目を集めるプライベートDMP。今回の対談から、その構築にあたり信頼できるパートナーと出会えるかは成果にも大きな影響を与えると言えそうです。

分析力を強みとし、独自開発かつスモールスタートスケーラブルなALBERTの「smarticA!DMP」は、DMP構築・運用を検討する企業にとって一考の価値があるのではないでしょうか。

 

 「smarticA!DMP」についての情報・お問い合わせはこちらから
株式会社ALBERT 電話:03-5333-3747

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2016/01/27 15:03 https://markezine.jp/article/detail/20337