矢野経済研究所は、国内のDMPサービス市場/MAサービス市場の調査を実施した。同社が発表した結果のサマリーは次の通り。
デジタルマーケティングサービスの市場規模は今後も拡大
DMPサービス市場とMAサービス市場を合算した、2014年のデジタルマーケティングサービスの市場規模(事業者売上高ベース)は208億円。多様化した顧客のニーズに応えるために、ビッグデータを活用したOne to Oneマーケティングを行うユーザー企業の増加やDMP、MAに対する認知の拡大などにより2015年の同市場規模は前年比30.8%増の272億円になると見込まれる。
デジタルマーケティングサービスは、中堅・中小企業こそ未だ情報収集段階の企業が多数派を占めるものの、大企業では本格的な導入・検討のステージに入っており今後も市場は拡大の見通し。また、ITを初めテクノロジーの進展によりマーケティングをビジネスの中核として捉える企業が増加基調にあることや、企業のIT投資が管理・効率化から変革・成長へとシフトしはじめていることがデジタルマーケティングサービスに対する前向きな投資を生み、2020年のデジタルマーケティングサービス市場規模(事業者売上高ベース)は、2014年比で約2.7倍の559億円に達すると予測される。
SIerの活躍に期待
これまで、デジタルマーケティングサービスの分野ではクリエイティブ系のマーケティングソリューション企業やコンサルティング企業の存在感が大きく、SIer(System Integrator)は存在感を示せていない。しかし、顧客との接点がデジタル化すると、フロント(営業部門)の要件に応じて基幹システムをアップデートしなければならない状況が出てくることや、業種・業界の知見を持つ人材が豊富であることなどが求められる。それらの要件は、SIer がデジタルマーケティングサービス市場でビジネスを展開する上での大きな強みになるため、今後の活躍が期待できると考えられる。
2015年DMPサービス市場規模は52億円の見込
2014年のDMPサービスの市場規模は事業者売上高ベースで40億円。消費者のニーズが多様化している昨今、広告会社に頼るだけではなく、企業が自社や第三者が保有するデータを活用して生活者の行動要因を突き止め、自社のマーケティング活動を最適化することへの意識が高まっていることなどからDMP構築、利用の動きが加速している。
また、大手企業でのDMP活用事例が広がりを見せていることも市場への追い風になっていることから、2015年の同市場規模は前年比30.0%増の52億円(事業者売上高ベース)になると見込まれる。
今後は、IoTデバイスなどからのデータもDMPに蓄積され、活用できるデータの量は劇的に増加し、DMP導入の有無がビジネスの差別化要素のひとつになると予測される。そのため企業におけるDMP導入は今後さらに進み、2020年のDMPサービス市場規模(事業者売上高ベース)は139億円に達すると予測される。
2015年MAサービス市場は220億円の見込
2014年のMAサービスの市場規模は事業者売上高ベースで168億円。最近では、企業におけるマーケティング活動のROIが強く意識されるようになったことや、顧客に対してパーソナライズされたコンテンツを提供する必要性が増したことなどから、MAを導入する機運が高まっている。
また、製造業を中心に日本企業の海外売上比率が高くなり、海外営業を支援するためのグローバルなマーケティングプラットフォームが必要になっていることや、引き合いを待つビジネススタイルからの脱却といった目的でMAを導入する動きが活発化していることも、MA市場拡大の一因となっている。ここから、2015年の同市場規模を前年比 31.0%増の220億円(事業者売上高ベース)になると見込まれる。
今後は人の行動履歴だけではなく、センサーなどのトラッキングデータもマーケティングの対象となり、マーケティングデータの量や複雑性は増す一方で、これらの管理・活用がこれまで以上に人の手では追いつかなくなることなどから、企業におけるMA導入は進んでいくと考える。そのため2020年のMAサービス市場規模(事業者売上高ベース)は420億円に達すると予測される。
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