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審査員が見たカンヌライオンズ2023

カンヌ2023に学ぶ:Vol.1石原和「8割以上がパーパス関連。無視できない広告の社会的役割の変化」

 6月19~24日(現地時間)に「カンヌライオンズ2023」が開催されました。この連載では、カンヌライオンズ2023で審査員を務めた方々に、日本の広告・マーケティング業界がカンヌライオンズから学べることをシェアしていただきます。本記事では、Brand Experience & Activation部門のショートリスト審査員を務めた、マッキャン・ワールドグループHDのエグゼクティブ・クリエイティブディレクター 石原和さんにお話を聞きました。

本記事はMarkeZineプレミアムの有料記事です。7月14日(金)~28日(金)の期間限定で無料公開しています。

カンヌライオンズ2023の全体傾向

MarkeZine編集部(以下、MZ):まずは、今年のカンヌライオンズの傾向をどうご覧になりましたか?

石原:コロナ禍からの数年で“パーパス”に関する話をずいぶんよく聞くようになりましたが、今年のカンヌライオンズも全体的にパーパスドリブンなアイデアが多く、肌感では応募作品の8割以上を占めていたような印象を受けました

株式会社マッキャン・ワールドグループ ホールディングス エグゼクティブ クリエイティブディレクター 石原和氏日英で20年以上ブランド・ビルディングの経験を有し、数々の受賞歴を持つ国際的クリエイター。2023年1月にマッキャン・ワールドグループのエグゼクティブクリエイティブディレクターに就任、マッキャンエリクソン、MRM、クラフトのクリエイティブを統括。MRM入社以前は、ビーコンコミュニケーションズで米大手スポーツブランドのデジタルクリエイティブをけん引し、その後アジアの化粧品ブランドを担当。ビーコンコミュニケーションズ以前は、R/GA New YorkでArt/Motionディレクターとして、スポーツ、車、アルコールのグローバルブランドを担当。Cyber Cannes LionsのGoldやWebby、Clio、One Show、LIA、AdFest、Spekesなど受賞歴多数
株式会社マッキャン・ワールドグループ ホールディングス エグゼクティブ クリエイティブディレクター 石原和氏
日英で20年以上ブランド・ビルディングの経験を有し、数々の受賞歴を持つ国際的クリエイター。2023年1月にマッキャン・ワールドグループのエグゼクティブクリエイティブディレクターに就任、マッキャンエリクソン、MRM、クラフトのクリエイティブを統括。MRM入社以前は、ビーコンコミュニケーションズで米大手スポーツブランドのデジタルクリエイティブをけん引し、その後アジアの化粧品ブランドを担当。ビーコンコミュニケーションズ以前は、R/GA New YorkでArt/Motionディレクターとして、スポーツ、車、アルコールのグローバルブランドを担当。Cyber Cannes LionsのGoldやWebby、Clio、One Show、LIA、AdFest、Spikesなど受賞歴多数

 従来の広告は、商品・サービスのベネフィットを伝えて、購買を促すというマーケティング的な立ち位置にありました。社会全体で見ると、消費社会を活性化させる役割を広告が担っていたと認識しています。ですが、ブランドやビジネスそのものをサステナブルなものにして社会を活性化させていくほうへ広告の社会的な役割が変わっている、もしくはそういうトレンドになっていることを今回強く感じました。

 また、逆説的に感じられるかもしれませんが、こうしたテーマが現代の多くの人の共感を呼び、結果的にブランドのビジネス成長に成果をもたらすことが証明されてきたのではないかとも思います。

MZ:広告×パーパスが事業成長に貢献するのかという議論がされてきましたが、一歩先に進んだ感じでしょうか?

石原:僕もそうですが、広告を作っている側の人間は「パーパスドリブンなアイデアでモノが売れるのか」という点に関しては、まだ腑に落ちていないところもあると思います。

 これは社内でもよく言うことですが、広告はチャリティー活動ではありません。ですので、パーパスドリブンなものでも、社会課題を解決した上で最終的にビジネスを成長させるものでなければならない、というのが僕の考えです。

 ただ、ブランドが社会的なイシューに対して意見や意思を提示することで、そのブランドのファンやロイヤルカスタマーからの支持を厚くすることができるということを、今回たくさんの作品を見て再確認しました。たとえば、ナイキはこの類の典型的なブランドですよね。

MZ:“パーパスドリブン”は、グローバル共通のテーマになっているということでしょうか。

石原:カンヌライオンズというアワードを通して判断すると、そうだと思います。とはいえ、日本人は日常生活の中で社会問題について話す習慣があまりないですよね。友人から聞いた話では、特に北米のほうでは、常に国中で話題の種になっているような社会問題が必ずあるそうです。諸外国は日本人には考えられないような深刻な社会問題に直面していますから、この領域に関しては日本よりも海外のほうが人々の意識が自ずと高くなると思います。

 こうした背景もあって「日本企業がパーパスドリブンなアイデアでアワードを取るのは難しい」というのが通説になっていましたが、今回そうでもないように思いました。宗教問題や戦争などの社会問題は日本人にとって身近ではありませんが、日本が大きく後れを取っているジェンダーギャップの問題など、パーパスのカテゴリで出てくるようなトピックスは意外と日本にも多くあるように感じています。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/07/14 09:39 https://markezine.jp/article/detail/42737

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