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【特集】「知らなかった」では済まされない、法規制とマーケティング

「ステマ規制」導入で 何が変わる? 企業が押さえるべき ポイントと考え方

 2023年10月に不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法、以下景表法)の第5条3号の指定告示によって、ステルスマーケティングの規制が導入され施行された。企業はマーケティングの際、具体的にどのような点に配慮する必要が出てくるのだろうか。景表法に詳しく、企業の実務に寄り添った指導をされている森大輔法律事務所 代表弁護士 森大輔氏に、ステマ規制および、景表法全体において企業が気を付けるべきポイントは何か、具体的な業務のシーンや違反事例を挙げながら解説いただいた。

※本記事は、2023年11月刊行の『MarkeZine』(雑誌)95号に掲載したものです

景表法と改正のポイント

―― 今回のステマ規制で注目された景表法とは、そもそもどのような法律なのでしょうか?

 景表法は、元々は独占禁止法の特別法でした。公正な競争を確保する趣旨で、不当な広告を規制する法律だったのです。2009 年に消費者庁が発足したことにともない、それまでは公正取引委員会が所管する法律でしたが、消費者庁へと移管されました。「消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害する」ことはやめましょうという、消費者保護に重きを置く法律に変化した経緯があります。

 景表法が規制しているのは、消費者保護の観点で大きく二つです。一つは景品に関する規制、もう一つは表示に関する規制。表示に関する規制は、薬機法や食品衛生法にも存在しますが、それぞれの法律で対象となる商品やサービスが限られています。一方、景表法の場合は商品・サービスに限定がないため、ほぼすべての企業が対象になります。非常に重要な法律と言えます。

株式会社サイバーエージェント AI事業本部 AIクリエイティブDiv統括 毛利真崇(もうり・まさたか)氏 広告代理事業の営業に従事した後、セントラルアカウントデザイン室を立ち上げる。2017年にAIクリエイティブDivを立ち上げ、AIや3DCGを活用した広告クリエイティブの効果予測や自動生成の研究開発のビジネス開発責任者・統括として従事。
森大輔法律事務所 代表弁護士
森 大輔氏

2009年の弁護士登録以来、企業問題に取り組む。2015年森大輔法律事務所を開業。2022年度は日本弁護士連合会常務理事に就任。主な業務は、労働分野や広告、景品表示案件を中心に100近い顧問先をサポートしている。講演実績は多数あり、社会保険労務士向けの労務問題セミナーを定期的に開催し、企業向けコンプライアンス研修なども多く開催している。

――今回、景表法に「ステマ規制」が導入されたと話題になっています。具体的にどのような規制が行われたのでしょうか?

 企業の作る広告がある程度の誇張表現をすることは仕方がないことであり、広く知られていることでもあります。そのため、景表法の条文でも「著しく優良・有利と誤認を与える表示を禁止する」と、「著しく」という言葉が入っています。

 消費者も見ているものが広告だとわかれば、その点を加味して判断できるはずです。一方、ステルスマーケティングいわゆるステマは、広告であることがわからないため、消費者は商品選択における自主的かつ合理的な判断ができなくなってしまいます。これは景表法の趣旨にも反します。

 実は、OECD(経済協力開発機構)に加盟している国のうち、GNP上位9ヵ国は、日本を除くすべての国で、既にステマに関する規制をしています。近年、特にSNSの発達にともないインフルエンサーによる活動が広がってきて、社会に与える影響も大きくなってきており、ステマ規制の必要性が高まってきました。こうした背景も踏まえ、今回の規制に至ったのです。

 ちなみにこの規制は、法律自体が変更されたのではなく「指定告示」という形で規制が追加され、さらに消費者庁長官が運用基準という形で具体的に「これは景表法違反となりますよ」と規制内容を示しました。法律を改正するという方法を採らなかったのは、立法で(国会で)条文を変更するには法律の影響範囲が広く、時間もかかってしまい迅速に現在の問題に対応できないためです。また、規制の対象は広告事業者のみで、インフルエンサーは規制の対象ではなく、この点は将来の議論に委ねられることとなりました。

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この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/11/24 09:23 https://markezine.jp/article/detail/44053

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