NTTデータ経営研究所は、10月16日、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションが提供する「NTTコム リサーチ」登録モニターを対象に「“保険視点”でのZ世代×デジタル戦略の有効性調査」を実施した。
同社では次の二つの仮説を立て、調査を通して検証を行った。
- 仮説1:Z世代が情報収集の手段を多様化させているため、保険会社は情報発信のバリエーションを増やす必要がある
- 仮説2:Z世代への保険提案は、個人の多様性を重視し、パーソナライズされた提案が効果的である
全世代が保険の情報収集に「インターネット検索」を使用
まず、保険未加入者(以下、未加入者)を対象に「生命保険や医療保険について調べる際の情報収集の方法」を調査。その結果、「インターネット検索」と回答した割合が、20代では73.9%、30代で65.7%、40代で69.9%、50代では81.9%となりすべての世代で最多となった。
また、30代~50代の大半4割以上が「保険会社のWebサイトや比較サイト」を参照するのに対し、20代は23.5%にととまった。その代わり、20代は「有識者のブログや解説サイト」を見る割合が50.4%となり、他の世代の約2倍に。このことからZ世代は情報を集め比較するだけでなく、口コミのようなリアルな情報を求めていることがわかった。
若年層ほど保険加入時に複数社で比較検討する傾向に
続いて、保険加入者を対象に「保険に加入する際、複数の保険会社で比較検討したか」を調査した。20代では55.3%が複数社を比較して加入していると回答。30代では44.4%、40代では40.2%、50代では33.5%となっており、年齢が高くなるほど比較検討を行わずに加入する割合が高いことがわかった。
また加入した方法を見ると、「保険会社の公式サイトからWebで申し込んだ」と回答した割合は、20代では34.2%、30代では31.8%、40代では23.2%、50代では16.5%となり、年齢が上がるほどWebでの申し込みが減少する傾向が見られた。
一方、「職場に来る保険会社から加入した」と回答した割合は、20世代では10.5%、30代では16.7%、40代では17.0%、50代では33.5%という結果に。
これらを踏まえると、20代76.3%が能動的に行動した上で保険に加入していることが明らかとなった。
20代未加入者の7割近くは「加入するきっかけがないだけで特に理由はない」と回答
次に、未加入者を対象に「現在、生命保険・医療保険に加入していない理由」を調査。すると、年代によって理由に違いが見られました。
「加入するきっかけがないだけで特に理由はない」と回答した人の割合を見ると、20代では68.6%、30代では33.0%、40代では25.2%、50代では16.4%と20代の割合が特に高かった。
また、「生命保険・医療保険の理解度」を調べたところ、「あまり理解していない」、「まったく理解していない」と回答した人の割合は、20代では71.5%、30代では60.3%、40代では59.0%、50代では45.5%となり、年齢が低いほど保険に対する理解度も低くなることがわかった。
調査結果の内容を踏まえて、NTTデータ経営研究所 ソーシャル・デジタル戦略ユニット アソシエイトパートナーの松田耕介氏とシニアコンサルタントの大橋加那氏は次のように分析をしている。
「仮説1では、Z世代が有識者のブログや解説サイトを活用し、第三者のレビューを信頼する傾向が強いことが確認されました。Z世代は従来の一方向的な広告や情報提供よりも双方向のコミュニケーションを重視しているため、保険会社は多様なメディアを通じて情報を発信する戦略が不可欠です。仮説2では、個人の多様性を重視するZ世代に対して、画一的な保険提案は効果が薄いことが確認されました。またZ世代が能動的に行動し保険に加入していることから、個々のニーズやライフステージに応じた提案が重要だと考えられます」(松田氏、大橋氏)
【調査概要】
期間:2024年6月21日~2024年6月25日
方法:非公開型インターネットアンケート(NTTコム リサーチ クローズド調査)
対象:就業中の20代から50代までの男女
有効回答者数:1,027人(男性:501、女性:522、非回答4)
機関/実施者:NTTデータ経営研究所 ソーシャル・デジタル戦略ユニット、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション
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