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MarkeZine Day 2026 Spring

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馬車にエンジンを付けていないか? 電通・佐藤真木氏が説く、AI時代を勝ち抜く「インサイト思考」の本質

AIで「インサイト」は見つけられるのか?

 では、AIによって「インサイト」を見つけることは可能なのだろうか。佐藤氏は、この1年間の実感値として「インサイトの大部分は、既にAIで見つけられる」と断言する。しかし、単にAIへ「インサイトを考えて」と問いかけるだけでは、既存のデータに基づいた「発見感の薄い顕在ニーズ」に近い答えしか返ってこない。

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 そこで佐藤氏が提案するのが、「思考法(型)」そのものをプロンプトに組み込む手法である。その一例として紹介されたのが、佐藤氏の著書『センスのよい考えには「型」がある』(サンマーク出版)で解説されている「出世魚モデル」を活用した発掘術だ。

 「出世魚モデル」とは、日常の小さな「気づき・違和感」を、対話を通じて「疑問・問い」「仮説・推論」へと段階的に育て上げ、最終的に「インサイト」へと昇華させる思考のフレームワークである。

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【出世魚モデル】
STEP 1:気づき/違和感 ―― 日常の中の微細なモヤモヤに目を向ける。
STEP 2:常識/定説 ―― その違和感が反する「世の中の当たり前」を明確にする。
STEP 3:疑問/問い ―― 「その常識は本当にそうか?」と問いを立てる。
STEP 4:仮説/推論 ―― 常識の裏に隠れたホンネを言語化する。
STEP 5:確認/検証 ―― 自分の言葉を客観的な事実で裏付ける。

▽出世魚モデルについて詳しく解説した記事はこちらから。

結論(答え)ではなく、「思考の道筋」を可視化する

 佐藤氏は、AIに単なる「答え」を丸投げするのではなく、結論に至るまでの「思考プロセス」をセットで出力させることの重要性を強調する。通常、AIの推論はブラックボックスになりがちで、どのようなロジックでその回答に辿り着いたのかが不透明だ。しかし、特定の「型」に沿って考えさせることで、AIの思考プロセスを疑似的に可視化することが可能になる。

 たとえば「手土産」のインサイト発掘をAIに依頼した際、単に「意外性のある手土産を」と問うのではなく、「出世魚モデル」を型として指定することで、AIは極めて具体的な人間心理を掘り起こして見せた。

【例題】
良い手土産を選べるようにするために、手土産を受け取る側のインサイトを「出世魚モデル」の型を使って見つけてください。

【AIの回答】
みんな/世の中は「手土産はセンスが第一」と思っているかもしれないけど、実は、「センスよりも、私の“今の状態”を想像してくれる気づかいが一番嬉しい」のではないか? と私は思う。

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 このインサイトからは、たとえば受け取り手のSNS投稿などから「最近の状態(疲れ気味、ダイエット中など)」をAIが自動推定し、その瞬間の状況に寄り添った品を提案する「手土産カスタマイズサービス」といったアイデアが生まれる。

 もし、いきなりAIに「インサイトを出して」と指示していたら、誰もが思いつくような発見感の薄い顕在ニーズしか返ってこなかっただろう。

 このように佐藤氏は、「インサイト単体」の結果だけを見るのではなく、「インサイトに至る思考プロセスを丸ごと」AIに書き出させることにこそ価値があると説く。最終的な結論以上に、その道筋に散りばめられたフレーズの一つひとつに、人間がハッとするような「発見」が隠されているからだ。

次のページ
AIが出す“インサイトっぽいもの”から「これはイケる!」をどう判断するか?

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2026/03/19 08:00 https://markezine.jp/article/detail/50513

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