店頭で思い出してもらうトリガーを仕込む。LIONのメディア戦略
MZ:LIONが「オーディオ高校野球」に出稿している狙いをお聞かせください。
神田:当社が扱うトイレタリー製品は、購入前に入念に調べるなどの行動は少なく、お買い物の時の「ついで購入」が多いため「低関与商材」と呼ばれています。多くの場合使い切るまでが1ヵ月程度で、買い替えのサイクルも早く、事前の情報収集がないまま店頭で購入されるケースも少なくありません。ブランドのロイヤルティを高めることは大切ですが、それだけで必ず買い続けてもらえるとは限らない。新しいお客様を獲得し続けることが重要だと捉えています。
その際に重視しているのが、生活者が店頭に立った瞬間に思い出してもらえる状態を作ること。広告の役割は、購入の場面でブランドを想起する“トリガー”を仕込むことにあると考えています。あらゆる場面で、できるだけストレスなく、シームレスに広告に接触してもらう。そのうえで、ブランドとしてお客様の記憶に残る接点を積み重ねていくことを意識しています。
その考え方の延長線上にあるのが、クロスメディアでの取り組みです。テレビやデジタルはもちろん、交通広告、新聞・雑誌なども含めて、お客様の生活動線上で当社のブランドに触れていただく機会を幅広く設計することを重視していますね。そうした中で「オーディオ高校野球」に出稿した理由は、高校野球が老若男女にとって国民的な関心事であり、熱量の高いコンテンツだと捉えているからです。ユーザーの年代傾向も踏まえながら、胃薬・目薬・下痢止めといったセルフケア領域の商材を中心に出稿しています。
MZ:「オーディオ高校野球」がスタートした初年から3年連続で協賛し続けているそうですね。
神田:はい。「radiko」では出稿後にブランドリフト調査を通じて好意度や認知度の変化を可視化できるため、施策の評価や継続判断を行いやすい点が特長です。加えて、他社の事例でも手応えが出ているとうかがい、継続の判断につながりました。
「ながら聴き」、ストレスの少なさ、余白ゆえのリマインド効果……音声広告が自然に届くわけ
MZ:音声のみの広告だと、動画や静止画のクリエイティブよりも伝えられる情報量が少ないとイメージする読者も多そうです。音声フォーマットならではの特徴をお教えください。
森下:一番の特徴は、ユーザーの視覚を奪わずに「ながら聴き」できるメディアであることです。移動中や家事中、仕事中など、行動の主体が別にあるシーンでも自然な形でユーザーに接触できます。先ほど神田様よりクロスメディアの観点をいただきましたが、様々な生活シーンで横断的に情報を発信していく目的で、動画メディアやSNSなどを組み合わせたプランニングのご相談も増えております。
森下:実際に当社が行ったユーザー調査でも、音声広告は他の広告フォーマットと比べてストレスを感じにくいという結果が出ていました。ストレスが少ないぶん、ユーザーに“自分ごと化”されやすい点も特徴だと思いますね。
MZ:記憶への残り方にも特徴があるとお聞きしました。
森下:おっしゃるとおり、耳で聴いた方が記憶に残りやすいという調査結果もあります。接触した時点での認知度は動画の方が高い一方、時間が経つほど忘却速度も速くなります。一方で音声は記憶が維持されやすい、という傾向が確認されています。
MZ:LIONとしては、音声広告の価値をどのように感じていますか。
神田:広告主の立場から見ると、ラジオ広告は素直に「おもしろい」と感じます。たとえば「上司と部下の会話」の設定で音声広告が流れると、ユーザーは自分で情景を想像しながら聴くんですよね。そこに“余白”があるからこそ記憶に残りやすく、後から思い出してもらうリマインド効果も高い。声優さんの演技力も含めて、短い尺でも没入できる世界観を作れるのは音声ならではだと考えています。
加えて、ラジオはユーザー(リスナー)とMCの距離が近いメディアでもあります。「この人が紹介するなら購入しようかな」と受け止めるリスナーも多くいらっしゃいます。詳細な商品やサービス理解はデジタル広告に強みがあり、信頼感の醸成という点では音声広告が適しています。各メディアの特性を活かした役割分担を意識していますね。
真島:今のお話にも通じますが、ラジオは「本音が出やすい」メディアといえます。テレビのように顔が映らないぶん、話し手も自然体で喋りやすい。そうした空気感が、「安心して聴ける」「感情移入しやすい」といったユーザー体験につながっているのではないでしょうか。
「オーディオ高校野球」においても、そのような音声の良さを活かしつつ、ファンが熱量を持って接する高校野球というコンテンツをお届けしています。
森下:実際に「オーディオ高校野球」を通して広告接触したユーザーは、対象サービスへの関心や利用意向も高まる結果が出ていますね。

