第1回では、Webの仕組みが実はアクセス解析に向いていない、ということについて解説しました。今回からは実際の解析結果を見る際に、知っておくとより理解が深まる技術的な事柄について紹介していきます(後編)。
IPアドレスは共有されている
アクセス解析の結果を知ることのできるIPアドレスは、必ずしもひとつのIPアドレス(ホスト名)が一人の利用者を表しているとは限りません。IPアドレスを共有する仕組みが存在しているため、複数の利用者からのアクセスが、同じIPアドレスからのアクセスとして記録されているケースもあるのです。 この仕組みは、ちょうど電話の内線の仕組みとよく似ています。組織内(たとえば企業内など)のネットワークとインターネットの間に「ルータ」と呼ばれる切り替え器のようなコンピュータを置き、そこにIPアドレスを振っておきます。そして組織内のコンピュータには、内部専用のIPアドレスを振るのです。
組織内のコンピュータがインターネットにアクセスするときには、必ずルータを経由し、そこで内部用のIPアドレスが外部用のIPアドレス(つまりルータのIPアドレス)に変換されてアクセスが行われます。その結果、その組織内のすべてのコンピュータからのアクセスは、同じIPアドレスとなるのです(図7)。ちょうど内線電話から外に電話をかけると、電話を受けたほうにはその企業の代表電話番号が通知されるのと同じです。

たとえば筆者のブログには、筆者の前職の企業からのアクセスが頻繁にあります。かつての同僚などが見ているのでしょうが、すべてのアクセスが同じホスト名からのアクセスになってしまうため、何回そのドメインからアクセスがあったのかはわかりますが、いったい何人くらいの人が見ているのかはわかりません。
このような仕組みになっているのは、ひとつにはIPアドレスの数が足りない、ということがあります。IPアドレスはインターネット上の「住所」ですから、同じIPアドレスを2台以上のコンピュータに割り当てることはできません。そしてIPアドレスの数は、256の4乗で表すことができるので、大体40億程度です。この数は地球の人口よりも少ない数であり、現在のコンピュータの増加を考慮すると、かなり少ない数といえます。
そのため、たくさんのIPアドレスを確保して利用することが難しくなってきており、ひとつのIPアドレスを共有する仕組みが作られました。さらに、こうした仕組みを作ることで、外部から、その組織内のコンピュータに直接アクセスするためのIPアドレスが存在しなくなることで、セキュリティの面でのメリットもあります。
ただし、こうした仕組みはアクセス解析をする側に立って考えると、ちょっと不便な仕組みともいえます。特に個々の利用者を識別することに関しては非常に不便なのですが、JavaScriptを利用することで、「内線番号」にあたる内部のアドレスを知ることも一応可能です。この方法については、回を改めて紹介することにします。
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水野 貴明 (ミズノタカアキ)
1973年東京生まれ。バイドゥ株式会社勤務の兼業テクニカルライター。学生のとき に父親が買ってきたパソコン(マイコン)と出会い、コンピュータとの付き合い を開始。大学は有機化学、大学院では分子生物学を学ぶも、就職で再びコンピュータの道を進むことになった。その後インターネットの普及により、様々な方に出会う機会を得て1999年より執筆活動を開始。 http://d.hatena.ne.jp/mizuno_takaaki/
著書
『アクセス解析でホームページの集客を極める本』 水野 貴明著、 ソーテック社、2005年3月
『詳解RSS~RSSを利用したサービスの理論と実践』 水野 貴明著、ディー・アート、2005年8月※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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