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清水 誠×小川 卓、Webアナリスト対談【前編】
解析ツールの役割ってこれからどうなるんだろう

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2012/07/03 11:00

アクセス解析に取り組んできたWebアナリストが徹底討論。話は海外のトレンド、解析ツール、予測分析から、デジタルマーケティングの本質にまで及びます。このふたりだからこそ実現した対話を、前・中・後の3回に分けてお届けします。(聴き手:MarkeZine編集長 押久保 剛)

今回お話をうかがったのは…
Adobe Systems Incorporated,  International Program Manager
清水 誠さん
1971年東京生まれ。国際基督教大学卒業後、WebコンサルティングやIA・UI設計に従事した後、事業会社側でアジャイル開発やCMS導入を含むプロセス改善ににこだわり18年、UXから開発、マーケまで幅広く経験&開拓。組織の内側からのプロセス改善とソリューション導入を得意とする。2008年に楽天に加わり、アクセス解析の全社展開を行った。2011年にFA宣言し、2011年9月から米国ユタ州の米Adobe Systemsに勤務。日米を行き来しながら研究と実践、執筆と講演を続けている。SiteCatalystユーザー会「eVar7」前代表。サンクトガーレン社外CMO。ブログ「実践CMS*IA」「実践★SiteCatalyst

株式会社 リクルート 住宅カンパニー SUUMOネット推進室 Webアナリスト
小川 卓さん
1978年横浜生まれ。在米・在英10年。ロンドン大学(UCL)卒業・早稲田大学大学院卒業。リクルートで、全社アクセス解析システムの導入・運用・サポート・教育を担当。2011年より住宅情報サイト「SUUMO」のWebアナリスト。そのかたわら、日本全国で「出前セミナー」を行っている。著書『入門 ウェブ分析論 ― アクセス解析を成果につなげるための新・基礎知識 増補改訂版』(ソフトバンククリエイティブ)。2012年6月、SiteCatalystユーザー会「eVar7」の新代表に就任。ブログ「リアルアクセス解析

解析ツールの役割ってこれからどうなっていくんだろう

押久保:今日は、昨年から米国のAdobe Systemsでお仕事を始められた清水誠さん、リクルートの住宅情報サイト「SUUMO」のWebアナリストとして活躍されている小川卓さんにおいでいただきました。おふたりは、今年米国で開催されたデジタルマーケティングのイベントにいくつか参加されていますが、そこから見えてくる、海外でのウェブ解析やトレンドについて、まずおうかがいできればと思います。

清水 誠氏
清水 誠氏

清水:「eMetrics: Marketing Optimization Summit」は今回で2回目の参加だったのですが、去年10月のニューヨーク、今年3月のサンフランシスコと、たった半年でもトピックが変わってました。前回注目されていたビッグデータは今回はあまり触れられず、次のステップとして、「データが広く集まった、ではそれをどうやって分析するか」ということが中心でした。

 特に、分析したらその結果を社内や社外の人に伝える必要がある。そのための視覚表現手段としてのグラフとかダッシュボードでの、見せる技術、情報デザインについての基調講演あったのが印象的でした

小川:ビッグデータが前提になりつつあるとして、それは、いろんなログのデータをすでに接続した状態で持っているというかたちなんでしょうか。

清水:ウェブだけのデータ単体で深く解析するというセッションはほとんどなくて、広告系のソリューションとか、オフラインのデータとか、CRM系の顧客データとかと統合したうえで全体を解析する、というようなセッションばかりでした。

小川 卓氏
小川 卓氏

小川:じつは、解析ツールの役割ってこれからどうなるんだろうなと思っていまして。ハイエンドに興味がいくほど、解析ツール単体だとやっぱり難しい。結局、分析っていうものを解析ツール上でやることに限界が出てきているんでしょうか。

清水:それぞれ得意なことを得意なシステムでやるという意味で、役割分担が進んでますよね。

 アクセス解析ツールというのは極端なことを言うと、ウェブ上のクリックデータを取り込んで貯めるのが主目的のツール。で、貯まったデータを取り出して、別のシステムで多角的に分析して、その分析結果を別のシステムでダッシュボードやレポートのかたちにし、メールやイントラネットに配信する。つまり、「集める」→「分析」「表現」「配信」というフローを複数のシステムを使って実現することになる。

小川:定常的なモニタリングはそうなんですけど、本当の分析はアクセス解析ツール上でやらなくなる。だからアクセス解析ツールの役割というのは、いかにほしいデータをちゃんと取れるように設計して正しく早く集められるようにするか、というふうになっていく。

 そうなると、ツールベンダーの差は、データの集計速度やサポート・コンサルティング・教育といった部分がよりフォーカスされるのではないでしょうか。ただ、それはツールでできる分析の限界を実感し、実利的なマイナスを感じている会社の場合であって、すべての企業がそうではありませんが。

清水:深く分析するためには、アクセス解析ツールから生データを取り出すというところが大事になるんですよね。Google アナリティクスって集計結果しか取り出せないじゃないですか。USでは、SiteCatalystから生データをデータフィードやDataWarehouseで取り出して統計処理したりレポートをつくるという話を結構よく耳にします。

3月にサンフランシスコで開催された
「eMetrics: Marketing Optimization Summit」(撮影:清水誠氏)
2012年3月5〜7日まで、サンフランシスコで開催された「eMetrics: Marketing Optimization Summit」

二極化するアクセス解析

小川:弊社がアクセス解析ツールを使って行っている業務の大半はモニタリング。あとは各社パートナーの皆様へのレポート提供です。最低限の分析はアクセス解析ツール上で行っていますが、やはり限られてしまいます。

清水:ツール上の分析というのは、初歩的な分析にとどまりがちですが、そもそもそういうものだと思いますよ。ちゃんとデータが取れているかをプレビューするとか、荒い粒度でざっくり見るという程度の使い方でよいと。その一方で、ぐりぐりとアドホックに分析する、または決められたデータを抽出して、他のデータと連携させるのはツールの外でやるという二極化が進んでいます。

小川:確かにそうですね。アクセス解析ツールが生まれた背景や目的を考えると、逆にそこまでアクセス解析ツールに求めるのも酷ですよね。特にレコメンドや配信といった施策に活用することを考えると、もう完全に目的が違う。

清水:そう、アクセス解析は一部でしかないと。完全にウェブで閉じてる企業だったらウェブだけで済むかもしれないですが。

小川:とはいえ「ウェブ」と言っても、使える/使うべきデータは多いです。アクセス解析ツール・検索エンジン・ソーシャル・第三者データ・広告配信データ……とにかく増えましたよね。

清水:分散するデータをどこに集約させるのか、という判断が重要ですね。組織の成熟レベルによってその判断も変わっていくと思います。


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連載:[Webアナリスト対談]清水 誠×小川 卓

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