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MarkeZine Day 2024 Spring

なぜ生成AI?LIFULLとパルコが語るブランディング文脈でのAI活用のポイントと可能性

AIを使わないほうが効率的?

 続いて両氏に投げかけられたのが「これからAIを使ったプロジェクトに取り組む自分がいるとしたら、今だからこそできるアドバイスは?」という質問だ。

 「生成AIを使った作業は本当に大変で、AIを使わないほうが効率的だったのでは?と思った瞬間さえありました」と畠山氏は振り返る。

 特に重要だと感じるのは、アウトプットから逆算した、学習素材の質・量の確保だという。当然、生成AIは学習素材をもとに生成する。どんな画像を作りたいか、そのために何を学習させるかをしっかりと設計することが大事だと語る。

 そして、画像の生成環境や、生成した画像の合否判定に関する詳細なすり合わせと、倫理的な観点も含めた、多様な視点でのチェック体制も大切だという。たとえば、画像の中には「高齢者になったフワちゃん」もいるため、年齢的な表現に問題はないかなど、様々な社員の意見も聞きながらチェックを重ねていった。

1万種類の画像をすべて人の目でチェックした。
1万種類の画像をすべて人の目でチェックした。

 「最終的には、公開に至るまでに10人以上の多様なメンバーでチェックすることになりました」(畠山氏)

「こっちの腕をちょっと上げて」ができない、微調整の難しさ

 生成AI活用のコストと効率について、手塚氏も畠山氏の意見に頷く様子を見せる。生成AIを使えば一瞬でクリエイティブが完成するため、コストがかからないというイメージがあるかもしれない。だが、実際にかかったコストは従来の方法で同じクリエイティブを作ったときと同程度だと手塚氏は語る。

 制作スケジュールの面でも、最初のミーティングから最終的なアウトプットまで6ヵ月以上かかっているため、リアルなクリエイティブの制作期間とさほど変わらなかったという。

 特に手塚氏がこだわったのは冒頭でも語られた通り、パルコならではのクオリティの追求だ。クリエイティブ自体は初期段階から最終的なものとほぼ変わりがなかったものの、生成AIを使う難しさは実は「微調整」の部分にあるという。

 「ほとんどの期間は、細部を詰める作業に費やしました」と手塚氏。生成AIの場合、女性のこっちの腕をちょっと上げたいと思っても、CGやイラストレーターのようにはいかない。プロンプトから画像を出すため、AIの学習進度によって出てくるものが変わってしまうのだ。そのため、同じものを生成することができない。

最終的に完成したクリエイティブ
最終的に完成したクリエイティブ

 本当に苦労したと振り返る一方で、技術の進化やAIに慣れたプロダクションが現れることで今後は短縮されていく可能性もあると、手塚氏は期待を示す。

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AIがブランディングの属人化を防ぐ可能性も

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この記事の著者

三ツ石 健太郎(ミツイシ ケンタロウ)

早稲田大学政治経済学部を2000年に卒業。印刷会社の営業、世界一周の放浪、編集プロダクション勤務などを経て、2015年よりフリーランスのライターに。マーケティング・広告・宣伝・販促の専門誌を中心に数多くの執筆をおこなう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/04/11 10:55 https://markezine.jp/article/detail/45123

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