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英マクドナルドが裏メニューを公式化──UGCを『判断材料』に昇華させたマーケティングの舞台裏

マクドナルドUKのCMOが語る、施策の真意

 このシークレットメニューについて、マクドナルドUKのCMOは「ファンに長年愛されてきたメニューハックを、公式に試せることをとても嬉しく思う」と語っている。中には一見すると成立しないように思える組み合わせもあるが、実際に食べてみると驚くほど相性が良い。その“意外性”こそが、この企画の楽しさだという。

 このコメントが示しているのは、単なる商品説明ではない。重要なのは、企業側が「正しさ」や「完成度」を基準にするのではなく、顧客が感じてきた楽しさや驚きを価値として認めている点である。裏メニューとは、言い換えればブランドの管理外で生まれた遊びだ。それを排除するのではなく、「試す価値がある体験」として公式に承認する。この姿勢そのものが、今回の施策を象徴している。

どうやって実現したのか──舞台裏の設計

 この取り組みは、SNSで偶然バズったアイデアを急遽商品化したものではない。実際には、長年にわたって蓄積されてきたファンのハック文化を前提に、周到な情報設計と体験設計が行われている。

 発表前には、意味深なティザーやグリッチ表現を用いたクリエイティブが展開され、「何かが起きるらしい」という噂が先行した。秘密文書を思わせるビジュアルや、あえて情報を伏せた表現によって、“探したくなる状態”が作られている。シークレットメニューという名称そのものが、情報を一気に開示するのではなく、段階的に発見させるための装置として機能していた。

画像を説明するテキストなくても可
出典:The Drum

新年に「シークレット」を公式化した意味

 マクドナルドがこの施策を打ち出したタイミングが「新年」であった点は重要である。年始は、ブランドにとって一年の方向性や姿勢を象徴的に示すタイミングだ。単なる新商品投入ではなく、これまで非公式に楽しまれてきた“裏メニュー”を公式化するという選択は、「変わらない安心感」を売りにしてきたマクドナルドにしては異例とも言える。

 裏メニューとは、本来コントロール不能な存在である。店舗スタッフの裁量や顧客同士の知識共有によって成立し、企業側からすれば想定外の注文やオペレーション負荷にもなりかねない。それをあえて公にし、ブランドの管理下に置いた。

 この判断には、「顧客の遊び」を排除するのではなく、受け入れ、編集し、公式体験へと昇華させるという明確な意思が感じられる。新年にこのメッセージを出したこと自体が、マクドナルドがUGCとの向き合い方をアップデートする宣言だったと見るべきだろう。

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Z世代が求めたのは「消費」ではなく「コントリビューション」

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この記事の著者

岡 徳之(オカ ノリユキ)

編集者・ライター。東京、シンガポール、オランダの3拠点で編集プロダクション「Livit」を運営。各国のライター、カメラマンと連携し、海外のビジネス・テクノロジー・マーケティング情報を日本の読者に届ける。企業のオウンドメディアの企画・運営にも携わる。

●ウェブサイト「Livit」

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/03/02 09:00 https://markezine.jp/article/detail/50313

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