オンライン×オフライン(サイネージ)の組み合わせも検証
「スカルプD ヘアルート」シリーズでは、デジタル広告と店頭サイネージを組み合わせ、購買行動にどのような違いが生まれるかを検証した。具体的には、オンライン広告のみ、オンライン広告とサイネージの併用、サイネージのみの3パターンの店舗を用意し、売れ行きを追跡した。
同シリーズでは、通常のボトル商品に加え、数百円で試せるパウチ商品も用意されている。検証の結果、メディア接点の違いによって購入される商品に差が生まれることがわかったという。
「この商品はドラッグストアのシャンプーとしては比較的高価格帯のため、広告を見てすぐに購入いただくケースはあまり多くありません。デジタル広告では、一度認知していただいた後、1ヵ月ほど経ってから購入するお客様が多いのです。一方で、店頭サイネージなどリアルの接点で広告に触れると、その直後に『まずはパウチで試してみよう』という行動が起きていました」(吉川氏)
つまり、オンライン広告はブランド認知を高め時間をかけて購入につながるのに対し、店頭のリアル接点はその場での“試してみたい”行動を引き起こしやすい。こうした結果から、オンラインとオフラインのメディアをどう組み合わせるかによって、購買行動が変化する可能性が見えてきた。
「スカルプD」の取り組みに対し、竹見氏からECとリテールメディアの違いについて質問がなされた。吉川氏によれば、ECでは自社がコントロールできる領域が大きく、施策の結果も比較的すぐに把握できる。一方でリテールでは、メーカーが想定していなかった顧客層から反応が得られることもある。
「リテールには多様なお客様が来店されています。メーカーだけでは接点を持てない層にもリーチできる点は大きな価値だと感じています」(吉川氏)
カバヤ食品は営業活動とブランド戦略の両方にリテールメディアを活用
続いて竹見氏が、カバヤ食品によるリテールメディアの活用事例を2つ紹介した。1つ目は、リテールが保有する購買データを活用し、ターゲット別にオンライン広告を配信する施策だ。その結果、セグメントによって購買率に最大2.4倍の差が生まれることが確認された。
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カバヤ食品では、この結果を営業活動にも積極的に活用した。デジタル広告はターゲティングが細かく、クリエイティブも顧客ごとに出し分けられる一方、営業やバイヤーが実際の広告を目にする機会が少なく、施策のイメージが共有しにくい。
「テレビCMであれば営業もバイヤーも同じものを見ていますが、デジタル広告はターゲティング配信なので、関係者に配信されるとは限りません。すると、デジタル接点を持っていない人同士が施策を評価する状況になってしまうのです」(竹見氏)
これに対し、「購買率が2.4倍」という数字は効果を直感的に理解しやすく、店舗バイヤーとの商談でも施策の価値を伝えやすくなったそうだ。
2つ目は、ブランド戦略の視点での活用事例だ。リテールの購買データを用いることで、「設定していたペルソナは本当に正しいのか」「実際に買っている顧客は誰なのか」といった検証が可能になり、次の施策でターゲット設計を見直す材料にもなる。
カバヤ食品では、購買データを用いて、ブランドが想定しているペルソナが購買行動を起こしているかどうかを追跡した。すると、デジタル広告ではCPMなどの指標が良好だったセグメントも、実際の購買データを見ると必ずしも売上につながっていないケースが確認された。
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「デジタル上では良い数字が出ていても、購買ベースで見るとコストが高くなっているケースがありました。つまり、デジタル指標と実際の購買の間にズレがあることがわかったのです」(竹見氏)
