社内浸透のための強力なテコ入れ「アンバサダー研修」とは?
宮田:AIアンバサダー研修は、AI開発担当者と私を含む計5名の事務局チームが主体となり、営業・広告運用担当などフロント部署の社員1,000名超を対象に実施した研修です。基礎知識の習得とともに業務活用への技術的・心理的ハードルをなくすことを目的としています。2024年度内に、「HAKUNEO ONEの週次アクティブユーザー(WAU)1,500名」という目標を定めてスタートしました。
生成AIの社内活用を推進するにあたり、私たちが注力したのは、いかに多くの社員に「自分ごと」として捉えてもらい、活用を組織全体へ浸透させるかという点です。そこで、研修を設計する上で工夫したのは、受講者を「アンバサダー」と「初級者」の2層に分け、それぞれに最適化した講義内容を用意することです。
さらに重視したのが、アンバサダーの選定基準と、彼らが教育する人数です。アンバサダーの選定においては、AIの専門知識よりも、「新しいツールに関心があるか」「人に物事を伝えるのが得意か」を重視。また、1名のアンバサダーが同じ部署に所属する初級者6名を教える体制としました。こうすることで、初級者の心理的な抵抗感を和らげ、組織内におけるイノベーターやアーリーアダプター層からアーリーマジョリティ層へのスムーズな波及を狙いました。
具体的な研修の流れとしては、まず事務局からアンバサダーに対し、生成AIの基礎から社内利用ガイドライン、初級者向けのレクチャー方法まで、座学と1時間のハンズオンを組み合わせた4〜5時間のカリキュラムで指導。その上で、アンバサダーが初級者へ90分に凝縮したレクチャーを行う方式を採用しました。いずれのコースでも、AIに慣れてもらうためのハンズオンは必須とし、全員がHAKUNEO ONEを実際に操作できる機会を確保しています。
ハンズオンパートでは、「奈良旅行のプランを立ててみよう!」といった、あえて業務とは関係のない身近なテーマを出題。これにより、プロンプトの違いによる生成結果の変化を体感しながら、試行錯誤を通じて生成AIへの理解を深めてもらえるよう心掛けました。
──その結果は?
宮田:最終的に265名ものアンバサダーが生まれ、938名の初級者が受講し、計1,203名の受講を実現しました。AI開発部署が直接全員に教えるのではなく、マイクロインフルエンサーのように、265名のアンバサダーを介して展開するネットワークの設計こそが、スケールの鍵でした。
研修の効果は数字にも明確に表れています。研修開始前の2024年4月時点では、累積UUは1,183名、WAUは364名でした。それが研修終了後の2025年3月には、累積UUが3,456名、WAUは1,552名と約4倍となり、目標を達成しました。
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宮田:また若手社員の中には、先輩に教える役割を与えられたことで開花した方も多く、AI研修が「逆メンタリング」の場になったのは思わぬ副産物でしたね。あるアンバサダーからは「自分が教える立場になることで理解度が上がった」という声もありました。
対面での指導が効果的!本部別のAI活用基礎研修
──24年度のAIアンバサダー研修は大成功を収めたとのことですが、社内でのAI研修には引き続き取り組んでいますか?
青木:はい。2024年度にフロント部署へのAI浸透を進められた一方で、バックオフィス(経理・財務・人事など)にはまだまだ届いていないというのが実情でした。そこで2025年6月からは週次で「お悩み相談会」を、2025年8月からは私たちが各本部に出向く本部別でのAI活用基礎研修を開始しました。
青木:この研修は、部署ごとに異なる「AI活用の実態」、「AIを使いたい場面」を我々がヒアリングし、現場のリテラシーレベルとニーズに合わせた研修を設計するのがポイントです。会議室での対面形式で、参加者のリアクションを見ながら進めることで、参加者同士の交流も生まれ、対面の価値を改めて実感しています。
──2年間を振り返り、何が大事だったと考えますか?
宮田:WAU1,500名という目標が無事達成できた今も感じるのは、やはり一方的な情報発信や高度な機能提供だけではなく、活用啓蒙を「諦めずに地道に続けること」が一番大事だったと思っています。2年目に青木が事務局に加わり、新鮮な目線で「まだやれることがある」と気づかされた面も大きいですね。
青木:推進側にいると、「AIは使えて当たり前」といった感覚に次第に陥りがちです。だからこそ、自分が初めてAIを利用したときの戸惑いを覚えておいて、その視点で話すことが現場に伝わるコツだと感じています。目の前にいる人がツール操作に行き詰まっているのを見て、「もっと細かく教えれば良かったな」と、毎回反省しながら伝え方を改善しています。
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三ツ石 健太郎(ミツイシ ケンタロウ)
早稲田大学政治経済学部を2000年に卒業。印刷会社の営業、世界一周の放浪、編集プロダクション勤務などを経て、2015年よりフリーランスのライターに。マーケティング・広告・宣伝・販促の専門誌を中心に数多くの執筆をおこなう。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
提供:株式会社Hakuhodo DY ONE
【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社
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