事例2:より大きな構造変革を狙う「AIセントリックチーム」
1つ目に紹介した事例は「既存事業の利益体質を、ボトムアップのAI民主化で改善する」アプローチでした。対照的に2つ目は、既存事業の延長線上では到達できないスケールの変革を狙う組織改革です。
AIセントリック──AIが事業の核として機能することを前提に、ゼロから事業の作り方そのものを設計し直す。既存の売上創出組織とは独立したチームとして、この「AIセントリックチーム」を立ち上げました。

両者は「どちらが正しい」ではなく、狙う成果のスケールと時間軸で使い分けるものです。短期〜中期で確実な利益改善を取りに行くのが1つ目の事例、長期で大きな構造変革を取りに行くのが2つ目の事例。後者は短期利益やROIをあえて追っていません。
このチームでは従来の職種・経験といった「人材軸」を排除し、「AIセントリックな仕事スタイル」に適応できる人材をアサインしています。驚かれるかもしれませんが、対象業務のディレクション経験者は一人もいません。業務経験のない人間がリードするからこそ、現場のやり方に縛られないゼロベース設計が可能になっているのです。
AIセントリックな仕事スタイルとは
彼らは複数の自律型AIを駆使し、複数イシューを同時並行で処理しています。2026年4月現在はCursorやGitHubを基盤に、AI同士が連携してアウトプットを生成し、人間はそれを導く役割です。
設計フェーズでは、複数AIに専門家ロールを大量に演じさせて論理最適解を出し、それを片っ端からプロトタイプ化。PoCや性能検証もバーチャルな状況再現を繰り返し、AIが分析して仕様修正まで実施しました。人間の認知限界を超えた大量・高速の仮説検証で、成功までの時間を超圧縮する手法です。
既存事業と同じ価値をAIで出せるか
当社はマーケティングコンサルティングサービスを提供していますが、彼らのコミットイシューの一つに「既存サービスをAIセントリックに提供し、既存事業と同等の顧客満足度・継続率を獲得すること」があります。
顧客満足を構成する「マーケティング成果」や「顧客体験」を、AIセントリックな世界でどう実現するか。人の介在を最小化しながら知覚価値を担保するコミュニケーションをどう取るか──試行錯誤が続いています。成功すれば販売価格を下げられ、組織サイズや採用のボトルネックも突破でき、大きな事業拡張につながります。
これらの取り組みは売上やROIではなく、「AX=事業構造そのものの変革」を実現する方法論と組織能力の獲得に重点を置いています。これを水平展開することで、中長期の高いROI実現を目指しているのです。
