社名認知が「選ばれる理由」に翻訳されていない
川端氏が示したある事例では、A社はB社より社名認知率が高かったにもかかわらず、指名検索数ではB社に大きな差をつけられていた。
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認知そのものは、もちろん重要だ。ただ、知っている状態がそのまま利用意向や想起に結びつくわけではない。知られること、必要な場面で想起されること、比較候補に残ること、そして実際に選ばれること。これらは別々の現象である。重要なのは、それらを分断せず、1つのつながりとして設計することだ。
「人は、知っているブランドを検索するわけではありません。必要な瞬間に頭に上がったブランドを検索するのです」(川端氏)
さらに厄介なのは、A社のような状況に陥った企業が、このズレを認識しないまま指名検索数だけを追い始めてしまうことだ。そうなると、バズや一時的な露出で検索数だけを動かそうとする発想に寄りやすくなる。
しかし、本来成果につながるのは、検索行動そのものではない。必要性が立ち上がる文脈の中で便益が認識され、利用意向が変化した結果として生まれる検索やCVこそが、事業に結びつくのである。
ミドルファネルとは何か。利用意向と想起を育てる“翻訳”の設計
では、その空白にあるミドルファネルは何を担うのか。
川端氏は、ミドルファネルを「必要な状況や文脈の中で、『このブランドなら選んでもいい』と感じられる状態を作る工程」と位置づける。すなわち、生活者の利用意向を高め、想起を育てるための変換プロセスなのだ。
生活者は、ある文脈の中でブランドの便益を認識し、その意味を理解することで、「選んでもいい」という確信へと近づいていく。この積み重ねが利用意向を育て、必要なときに想起される状態を作り出す。
とはいえ、ミドルだけで完結するわけではない。ボトム、つまり手に取りやすく買いやすい環境が整っていなければ、生活者は実際の選択に至らない。一方トップ、つまり既に知られているブランドであれば、生活者は文脈の中で便益をスムーズに理解できる。だからこそトップ、ミドル、ボトムは分業ではなく、接続なのである。
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