クリエイティブがターゲティングになる
3.Side Kicks上原氏:クリエイティブで獲得デモグラフィックを意図的にコントロール
上原(Side Kicks):獲得領域では、上位5〜10%のクリエイティブが売上の約8割を構成する傾向があります。そこで、上位クリエイティブの成果を最大化する観点から「クリエイティブによる配信ターゲティングの最適化」に取り組みました。
AI主導のブロード配信(※)が主流となる中、クリエイティブの構成要素をAIへのシグナルと定義し、配信年齢のコントロールにトライしたのです。縦型動画には大きな変更を加えず、静止画と組み合わせて訴求要素を変えるなど、クリエイティブの組み合わせを検証した結果、高年齢層への配信比率が約70%を占めていたキャンペーンで、34歳以下の配信シェアが28%から54%へと大幅に拡大しました。クリエイティブの核となる訴求を維持したまま、獲得デモグラフィックを意図的にコントロールすることで、単一クリエイティブでの売上最大化を実現しています。
※年齢・性別・地域以外の詳細な興味関心や行動ターゲティングを設定せず、AIの機械学習を活用して広範囲のユーザーに広告を配信する手法
4.オプト中村氏:対象外ユーザーのクリックをクリエイティブで適切に制限
中村(オプト):クリエイティブの担当者として私が最も注力したのは、機械学習やAIとの向き合い方です。たとえば金融業界の案件では、申し込み後の「承認率」がCPAに大きく響きます。機能訴求型のクリエイティブは申し込み数を増やせる一方、承認率の低いユーザーを引き寄せてしまう点が課題でした。
そこで「クリエイティブがターゲティングになる」という考え方から、承認率の低いユーザーがクリックしないデザインやメッセージの設計を追求しました。審査通過率の高いユーザーが増えることで、Metaの機械学習を好循環に導き、承認率・最終CPAの改善を実現しています。この考え方はクリエイティブの精度を高めるものであり、金融業界に限らず他業種にも応用できるアプローチです。
ターゲティングの精度を高めるため、制作物に込めた意図がユーザーに正しく届くかどうかをAIで測る取り組みも進めています。文字の大きさやメッセージの明瞭性など多角的な視点からクリエイティブを事前に分析し、人の目では見落としがちな改善点を洗い出す取り組みです。
5.オプト西森氏:データクリーンルームを活用し検索広告偏重を解消
西森(オプト):私が2025年に注力したのはデータクリーンルーム(Advanced Analytics)の活用です。Meta社と共同でユーザー行動の分析を行ったところ、初回接触でコンバージョンに至るユーザーはわずか4%に過ぎず、6回以上接触したユーザーが全体の約8割のコンバージョンを占めているという構造が明らかになりました。
この知見を基に、ユーザーとの接触機会を意図的に増やすキャンペーン設計へとシフトしました。コンバージョン実績だけでは投資対象になりにくい認知・リール広告についても、新規ユーザー獲得への貢献度をデータで示し、クライアントの検索型広告偏重を解消する根拠としました。
組織のデザインも当社の成果を支えた要因です。広告代理店では一般的に運用部門と制作部門が分離していますが、Meta広告においては両者の密接な連動が成果を左右します。そこで「Meta専任」という職務規定を設け、一人の担当者が運用とクリエイティブの双方に関与する体制を構築しました。専門性を担保しつつ両方を担える人材を育成し、クライアントにとって真のパートナーとなる体制を構築しています。

