立ち上げ3日で2,000個が即完売。TikTok Shopという「新戦場」でのリアルな戦い方
━━参入初期、どのような戦略でスタートを切られたのですか。
中田 とにかく国内のTikTok Shopにおけるファーストペンギンになることを目指しました。競合が少ないうちに圧倒的な実績を作り、ナレッジを貯めるためです。KPIとしてはランキング1位の獲得とGMV(流通取引総額)の最大化を置き、毎日PDCAを回しました。
TikTok Shopは機能のアップデートも頻繁に行われるため、昨日までの正解が今日通用しなくなることもあります。そのため、商品ページの文言からレイアウト、カードのデザインまで、日々微調整を繰り返しました。
━━その結果、驚異的な初速を記録されたと伺っています。
中田 2025年7月の3連休に合わせて仕掛けたショート動画が1,000万回再生を超え、わずか3日間で2,000個以上が売れました。正直、我々もそこまで一気に伸びるとは予想していなかったため、倉庫の発送が追いつかず、社員総出で梱包などの対応をしたほどです。この動画をきっかけにランキング1位を獲得でき、TikTok Shopにおける「magpic」の地位を確立することができました。
━━その1,000万回再生された動画には、どのような仕掛けがあったのでしょうか。
中田 「若者の日常にどれだけ溶け込めるか」を徹底的に追求しました。大学生くらいの女の子が、テーマパークや街中の自販機、電柱など、様々なシーンでmagpicを使って撮影を楽しんでいる様子をテンポよく見せました。
単なる機能説明ではなく、「このアイテムがあれば、あなたの日常がこんなに映える」というベネフィットを視覚的に伝えたことが、爆発的な反響に繋がったのだと考えています。

━━競合が出てきた際も、そのスピード感で乗り切られたのですね。
中田 立ち上げから3ヵ月ほどで安価な競合品も現れましたが、ナハトの強みであるトレンドへの感度でカバーしました。TikTokは情報の消費が激しく、同じ動画を使い回せばすぐに飽きられます。我々のチームは若年層のメンバーが中心で、彼らが自発的に流行りの音源やエフェクトを取り入れ、常に新しいクリエイティブを出し続けました。
「体験」のショート動画と「信頼」のライブ配信。成果を最大化する使い分け
━━TikTok Shopの売上を高めるためには、ショート動画やライブ配信、またTikTokクリエイターを起用した動画など、様々なアプローチがあります。それぞれの使い分けについて詳しく教えてください。
中田 ショート動画は、いわば「認知と憧れ」の創出を目的に投稿しています。先ほどお話ししたように、magpicを使用すれば素敵な映像が撮れるという体験を見せて興味を引きます。
対してライブ配信は「信頼と不安の払拭」です。動画だけでは伝わらない磁石の強度を実演したり、「自分のスマホのサイズでも大丈夫か?」といったリアルタイムの質問に答えたりします。また、スマホホルダーは実物を見ると非常にコンパクトなのですが、そのサイズ感をライブで見せることで、「カバンに入れても邪魔にならない」という安心感を与えています。
━━TikTokクリエイターの選定についても独自のロジックがあるのでしょうか。
中田 ナハトにはこれまで数多くのインフルエンサーマーケティング案件を回してきた実績とデータベースがあります。それを活用し、magpicのようなガジェット商品との親和性や過去のエンゲージメント、フォロワーの購買意欲などを分析してアサインしています。
安達 ナハトの強みは、SNS黎明期から積み上げてきた圧倒的な「広告運用の実績」にあります。過去にどのクリエイターがどのような訴求でこれだけ売ったか、という「実数値」が膨大なデータとして蓄積されています。
事業会社様は自社のデータしか持ち得ませんが、我々は全クライアント様の横断的なデータを持っています。この情報量の差が、TikTok Shopという新しい戦場においても勝敗を分ける要因になります。
━━広告とオーガニックの連携についても教えてください。
安達 「オーガニックで再生数が多い動画の要素を広告にも活かす」というのが鉄則です。結局のところ、広告の効果を高めるためにはクリエイティブが一番重要です。オーガニックで再生される動画と広告で再生される動画の感覚は多少違うものの、両方の再生が伸びるロジックを理解した上で掛け算を行い、最適なクリエイティブを制作・配信しています。

