シニアのおしゃれは“買う”から“育てる”へ
さらに印象的だったのは、「お気に入りの服を大事に長く着たい」という声の多さです。具体的には、「汚したくないからあえて普段は着ない」「長く着たいから丁寧に保管している」「クリーニングして大切にしまっている」など。そこには、大量に買って大量に消費する時代とは異なる価値観があります。
また、「今持っている服をどう着こなすか」「小物で変化をつけたい」といった声も目立ちました。新しい服を次々に買うこと以上に、手持ちの服をどう活かし、今の自分に合わせてどうアップデートするかに関心が向いているのです。
背景にあるのは、物価高だけではありません。年齢を重ねたからこその“選び方の変化”もあるのでしょう。若い頃のように流行を追い続けるのではなく、「本当に好きなもの」「自分に合うもの」を吟味するようになる。安価なものを大量に買うよりも、質の良いものを長く大切に使い続ける。シニアは消費しなくなったのではなく、選び方が変わったのです。おしゃれの質はむしろ高まっていると言えるのではないでしょうか。
シニアのおしゃれは、買う喜びだけでなく、育てる楽しさも含むものへと変化しています。
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おしゃれ消費を動かすのは“非日常体験”
一方で、消費が動く場面も見えてきました。「おしゃれをしたくなる場面」として代表的だったのは、「旅行」「友人との外食」「コンサート」「観劇」「美術館」などの特別な場です。猛暑や年齢変化の影響もあり、日常的な外出は減少傾向で、節約意識も働きます。しかし、非日常シーンでは「せっかく出かけるならおしゃれしたい」という気持ちが生まれます。
現在のおしゃれは、商品単体では動かず、体験と結びつくことで価値を発揮できるのです。実際、自由記述でも、「旅行だから明るい服を着たい」「観劇には少し華やかな装いをしたい」といった声が見られました。おしゃれが「その時間をどう楽しむか」と深く結びついています。
これは企業にとっても大きなヒントです。この層には、「この服が流行っています」というトレンド提案だけでは弱いかもしれません。「どこへ着ていくのか」「誰と過ごすのか」「どんな気分になれるか」といったシーンや感情まで含めて提案することで、初めて共感が生まれる時代になっています。
