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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2026 Online

世界動向の先を読む「もう1つの視点」

少子化に逆行成長するキッズ市場 キッズ向け都市型リアル店舗の収益化構造

ニューヨークで収益増加が見られるキッズ向けのリアル店舗ブランド

1.CAMP:リテール・メディア・カンパニーとしての空間マネタイズ

 全米に店舗を展開するニューヨーク発のCAMPは、自らを「The Family Experience Company」と定義する。CAMPのビジネスモデルの特徴は、物販売上が全体のわずか20~30%に留まる点にある。収益の大部分は、店舗奥にある“魔法の扉(本棚が隠し扉になっている)”を抜けた先に広がる没入型アトラクションのチケット販売、誕生日パーティー、有料ワークショップ、そして大手ブランドとのスポンサーシップ契約から構成されている。

  • 没入型アトラクション:Bluey・Disney Encanto・Trollsなどのアニメや映画に登場する世界を再現し、その中に入って遊べる「IP没入型のアトラクション」
  • スポンサーシップ契約:キャラクターの世界観に浸りながら、子どもの誕生日を自宅外で祝う「誕生日パーティー予約」など、高いエンタメ性を備えた個室パッケージを提供。Walmartと提携したバーチャルサマーキャンプや、Apple、Ally Financialのスポンサー契約は、ブランドが顧客の生活に深く入り込むための広告プラットフォームとしても機能する
  • 有料ワークショップ:スライム作りやデジタルアート制作など、子どもの創造性を刺激する「体験型クラス」

 CAMPは、玩具店というより「滞在時間を売るテナント」に近い。年間200万人の来場者、年2.5回のリピート率、そして一般小売の20~30%を凌駕する80~85%という高い購入転換率は「滞在時間そのものを収益化する」モデルが商業施設のテナントとして十分に成立することを実証している(図表1)。

図1:CAMPの事業モデルKPI(※CAMPの公開資料より筆者作成)
図1:CAMPの事業モデルKPI(※CAMPの公開資料より筆者作成)

2.Build-A-Bear Workshop:パーソナライゼーションと「大人・親市場」の開拓

 Build-A-Bear Workshopは、「わたしのクマちゃん」として、ぬいぐるみの綿入れ・名前付けなどの製造工程に子ども顧客を参加させることで、プロセス自体をエンターテインメントに昇華させている。製品への深い愛着を生み出し、その価値は完成品そのものよりも、キッズの「体験の記憶」に宿る。

 2025会計年度の総収益は過去最高の5億2,980万ドル(約800億円)、税引前利益も過去最高の6,720万ドル(約100億円)を記録し、高収益かつ成長基調にある。また、2024年度拡大戦略を打ち出している。自社直営に固執せず、フランチャイズやリテール企業への委託といった「アセットライト(資産を抑えた)」モデルを活用し、25ヵ国以上にグローバル展開している点にも目が行く。

 そんなBuild-A-Bear Workshopの顧客は、約40%を大人やコレクターが占めている。 キッズ向けの玩具店の枠を超えた「ギフト市場」での長期LTVが、少子化環境下でも成長を続けられている要因だ。

3.American Girl:世代をまたぐ循環モデルの構築

 Mattel傘下のAmerican Girlは、単に人形を販売するのではなく、各キャラクターに紐づく背景物語や価値観をセットで提供し、店舗内でもダンスクラス、ペインティング、クッキーデコレーションといった独自イベントを主催している。今年ブランド誕生40周年を迎える同社は、大人(親)向け小説の発売や記念コレクションの展開も予定。子ども時代にブランドに触れた親世代が、自分の子どもと共に戻ってくる「世代を超えた循環モデル」を描いている。LTVを世代単位で延ばす発想だ。

4.Sloomoo Institute:スライムで年商3,000万ドル、驚異の収益

 一見「スライムで遊ぶ場所」にしか見えないSloomoo Instituteだが、事業収益はスタートアップ初年度から黒字で推移。また、収益の85%をチケット販売が占める。

 わずか7店舗で3,000万ドル(約45億円)の売上を実現し、2022年のSeries Aで調達した580万ドル(約8.7億円)の5倍超のリターン効率を示している。

 デジタルネイティブの子どもたちにとって、スクリーン上では得られない「触覚」の体験は新鮮であり、親にとっても「スクリーン・タイムの代替」として、罪悪感の軽減につながる。この体験需要は、世界各国で広がるキッズ世代のSNS規制の風潮にも後押しされている。

5.Sky Zone:空虚化するショッピング・モールの再生装置

 Sky Zoneの親企業である「CircusTrix Holdings」は、屋内型トランポリンおよびアトラクション施設のデベロッパー、運営会社、フランチャイザーであり、その傘下にSky ZoneやRockin' Jumpのブランド施設を保有する。2024年にはシステム全体売上6億4,200万ドル(約963億円、前年比27.3%増)を達成。現在265拠点を展開し、2027年までに500拠点を計画している。

 空きテナントの多い商業施設にとって、Sky Zoneは強力な「集客アンカー」となる。1家族あたり40~60ドル(約6,000~9,000円)の支出、2時間の滞在時間、会員制プログラムによるリピート――これはキッズビジネスというB2Cの視点だけでなく、ショッピング・モール(商業不動産事業)側から見れば、喉から手が出るほど欲しいトラフィックを生み出すB2B装置でもある。

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体験と物販のバランスを誤った敗者店舗の事例

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この記事の著者

榮枝 洋文(サカエダ ヒロフミ)

株式会社ベストインクラスプロデューサーズ(BICP)/ニューヨークオフィス代表
英WPPグループ傘下にて日本の広告会社の中国・香港、そして米国法人CFO兼副社長の後、株式会社デジタルインテリジェンス取締役を経て現職。海外経営マネジメントをベースにしたコンサルテーションを行う。日本広告業協会(JAAA)会報誌コラムニスト。著書に『広告ビジネス次の10年』(翔泳社)。ニューヨーク最新動向を解説する『MAD MAN Report』を発刊。米国コロンビア大学経営大学院(MBA)修了。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/05/25 09:00 https://markezine.jp/article/detail/50730

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