【ベルーナ】多SKUの強みをAIで最大化
続いて、ベルーナの片山和紀氏による事例紹介が行われた。ベルーナは衣・食・住・遊を豊かにする多角的な事業を展開しており、今回は売上の約半分を占める通信販売事業、中でもファッション、インナー、雑貨を扱う「ベルーナOnline Store」での取り組みが紹介された。同ストアは50・60代女性をメインターゲットとしつつ、近年はメンズブランドや30代女性向け商品も拡充している。
同社が抱える課題は主に3つだ。1つ目は商品点数が非常に多く、興味やニーズが多様なこと。2つ目は閲覧やカート投入後の離脱ポイントが多いこと。3つ目はGoogleやMetaでは届きづらいセグメントが存在することである。
1つ目の課題に対しては、商品数の多さが逆にCriteoのAI学習を促進する強みとして機能しており、リターゲティングで安定した成果を上げつつ、その基盤を土台に新規獲得施策へも展開している。
2つ目のカート離脱への対応としては、ダイナミックリターゲティングを活用しカート放棄者へのセール告知などバナーで購買を後押ししている。配信するクリエイティブについては、AIがユーザーの離脱タイミングや閲覧頻度、購買行動を判別し、配信頻度や内容を自動で最適化しているという。
3つ目については、Criteoがインターネットユーザーの92.6%にリーチ可能な配信環境を持ち、GoogleやMetaでカバーしきれない層へのアプローチを実現している。
優良顧客特化の配信でROAS36%改善
具体的な施策としてまず紹介されたのが、Criteoのプレディクティブオーディエンスを活用した購買意欲の高い「優良顧客」に特化した配信だ。
従来は既存顧客向けのキャンペーンを一本化して運用していたが、優良顧客に特化した配信を切り出すことで受注金額が前年比136.4%増、ROASも36%改善した。片山氏は「行き詰まりを感じていた時期に生まれた施策だっただけに、担当者として思い入れの深い結果となった」と振り返った。
次に紹介されたのが、自社データを活用した54歳以下へのリーチ拡張だ。Criteoを用いると、購入率の高い層である50・60代女性への配信に最適化されやすくなる。しかし、サイト全体では30・40代の購入者も一定数存在していた。
そこで、HEM連携によりCriteoにインポートした自社データをシードとして活用し、54歳以下を対象とした配信を意図的に実施。ROASを維持したまま受注金額が24.6%増と、規模拡張と顧客層の活性化を同時に実現した。AIによる最適化を基盤としつつ、人間の判断で拡張するアプローチの好例といえるだろう。
新規獲得に向けては、ルックアライク配信にも取り組んでいる。従来は購入者や会員ランクの高い顧客データをもとに類似ユーザーへ配信していたが、AIの学習精度を高めるべく、男女別・獲得経路別にデータを細分化して渡す形に改善を進めているところだという。
こうした取り組みを加速させたきっかけの1つが、1st Partyデータのマッチ率の高さだ。自社から渡したデータとCriteo側で判別できるデータの一致率を管理画面で確認した際、その高さに片山氏自身が衝撃を受けたといい、自社データの活用可能性への期待がさらに膨らんでいる。
「今後は、自社データを活用した配信の拡張と、ターゲットに合わせたオーディエンス設計とクリエイティブの磨き上げの2点に特に力を入れていきたいと考えています」(片山氏)

