ウェルビーイングの実感を支える3つの土台──「お金」「時間」「心」のゆとり
では、ウェルビーイングが指す「一人ひとりのよりよい生活(=状態)」とは具体的にどのようなものなのだろうか。生活者の実感値から紐解いていきたい。
まず、ウェルビーイングの内容を理解・イメージできている対象者(n=1227)に絞り、「あなたは現在ウェルビーイングの状態であるか」と尋ねた。その結果、「とてもウェルビーイングな状態である」(12.6%)、「ウェルビーイングな状態にある」(54.7%)、「ウェルビーイングな状態ではない」(24.4%)、「わからない」(8.2%)との結果であった。
さらに上記対象者に対して、「お金」「時間」「心」の3つのゆとりがあるかを5段階で聴取し、ウェルビーイングの実感度別にまとめたのが図2である。
n=1227
ベース:ウェルビーイング用語を「内容まで含めて知っている」+「なんとなくイメージできる」
(クリックすると拡大します)
この図を確認すると、「とてもウェルビーイングな状態」にある層では、お金・時間・心のすべてにおいて約7割が「(とても・まあ)ゆとりがある」と回答している(赤枠)。対照的に、「ウェルビーイングな状態ではない」層では、「(全く・あまり)ゆとりがない」と回答した人が過半数に上っている(青枠)。
この結果から、ウェルビーイング実感には、お金・時間・心の3つのゆとりが強く関係していることがうかがえる。
持続的な精神的充足「ユーダイモニア指標」と、ウェルビーイングの関係
ウェルビーイングを捉える際、近年グローバルで注目されているのが「ユーダイモニア(Eudaimonia)」という概念だ。これは一時の享楽的な幸せ(ヘドニア)とは異なり、自己実現や生きがいといった「持続的な精神的充足」を指す。
この概念は、GDPのような経済指標だけでは捉えきれない人々の幸福度を補完的に把握する考え方として、グローバルで着目されている。OECD(経済協力開発機構)も2013年の初版に続き、2025年に『OECD Guidelines on Measuring Subjective Well-being』の更新版を公表した。
測定のためのさまざまな指標がある中から、今回は人生に対する充足感と成長志向を測定するための「ユーダイモニア拡張モジュール」の4つの設問を利用し、現在の状態との分析を行った。
図3は、各設問「自己実現:人生の中で自分のやりたいことができている」「達成感:ほとんどの日で達成感を感じている」「自己受容:自分自身に前向きな気持ちを持っている」「成長志向:学び・変化・成長は途切れることのないプロセスである」に対し、「とてもそう思う(11段階中10点・9点)」と回答した層が、現在どのようなウェルビーイング状態にあるかの内訳をまとめたものである。
自己実現:n=155、達成感:n=144、自己受容:n=161、成長志向:n=178
ベース:ウェルビーイング用語を「内容まで含めて知っている」+「なんとなくイメージできる」、かつ、各質問の11段階中10、9選択者
(クリックすると拡大します)
図3から、ウェルビーイングな状態である人は「自己実現」「達成感」「自己受容」「成長志向」を自ら感じ取っていることがわかる。
ここまでの分析から、ウェルビーイング実感が高い人ほど、「お金・時間・心」のゆとりを持ち、自分のやりたいことに取り組み、達成感や成長実感を得ている傾向がうかがえる。
