新しいマーケティングOSを構成する「3つのレイヤー」
では、これからの時代に求められるマーケティングOSとはどのようなものでしょうか。私は、次の3つのレイヤーで再設計すべきだと考えています。
1. 判断OS(Decision OS)
「人間とAIの役割分担」を定義するOSです。何でも人間が判断するのではなく、どこまでを自動化し、どこにAIの知能を組み込むのか。その境界線を明確に設計することが求められます。
2. メッセージOS(Message OS)
従来のような「CM起点」のメッセージ開発を卒業し、「生活者にどう意味づけられるか」から逆算する思想です。ここが現在、最もアップデートが遅れている領域と言えます。
3. 接点OS(Touchpoint OS)
SNS、コンバージドTV、リテールメディアをバラバラの施策として捉えるのではなく、一つの設計思想でつなぎ、統合的に運用するためのOSです。
ここで注意すべきは、AIは単なる効率化ツールではないということです。むしろ、OSを再設計しない企業にとって、AIは“毒”になり得ます。
古いOS(前時代のルール)のままAIを導入すれば、意思決定が歪み、KPIがずれ、結果として「無駄な最適化」が加速するだけだからです。これからのマーケティングの競争は、「どんな戦略を持っているか」ではなく、「どんなOSで動いているか」で決まります。そしてOSとは個人のスキルではなく、組織の構造そのものです。
“宣伝部OS”再設計のすすめ
企業のマーケティングOSが旧態依然としているとき、その最前線にいる宣伝部はどうなっているでしょうか。厳しい言い方になりますが、宣伝部は「旧OSのまま最も苦しんでいる部門」と言わざるを得ません。
多くの宣伝部は、いまだに「広告会社への発注管理」「テレビCM中心のスケジュール運用」「媒体別の分断されたKPI管理」という構造の中で動いています。しかし、外の世界ではSNSで炎上が起き、リテールメディアで売上が瞬時に可視化され、AIが広告を自動最適化しています。宣伝部の内側のOSだけが取り残され、外側の進化とのギャップに悲鳴を上げているのです。
