AIの得意・苦手をきちんと説明できますか?
AIをうまく使いこなすには、まずAIの得手不得手を正確に理解することが必要です。
人と比較してAIが明確に得意なのは、パターンの処理です。大量のデータから規則性を見つけ出し、分析手法を提案・実装し、多角的な仮説を次々と列挙する――こうした作業を、高速かつ網羅的にこなします。
たとえば、「考えられる仮説を10個挙げて」と投げれば瞬時に返ってきますし、集計やグラフ化のコードも数秒で生成されます。これまで半日かかっていた作業が、数分で終わることも珍しくありません。
一方で、AIが苦手とする領域があります。
ビジネス文脈の理解がその筆頭です。「なぜこの数字が重要なのか」「この仮説はうちには当てはまらない」。こうした暗黙知は、AIには判断できません。同様に、因果関係の判断も苦手です。AIは「相関がある」ことを見つけるのは得意ですが、「AがBの原因である」ことを見極めるのは人間の仕事です。そして何より、最終的な意思決定と責任の所在はAIに委ねられません。
| AI が得意な領域 | 人間が担うべき領域 |
|---|---|
| 大量データのパターン認識・要約 | どの数値を見るべきかの判断 |
| 手法の幅広な提案・コード生成 | 手法の妥当性検証・結果の解釈 |
| 多角的な仮説候補の列挙 | 業界知見に基づく仮説の取捨選択 |
| 選択肢の整理・示唆の候補提示 | 最終判断と責任 |
本連載では分析ケースの素材として、実際の購買履歴を記録したレシートデータを使います。誰が、いつ、どこで、何を、いくらで買ったかが把握できるため、顧客の実態を理解するうえで欠かせないデータです。
アンケートやインタビューは「嗜好・価値観」を言葉で集めますが、言葉は建前を映しがちです。「健康に気をつけている」と答えた人のレシートに、実際はお菓子が並ぶことは珍しくありません。行動は本音を映し、レシートデータではそれを捉えられる点が強みです。
連載を通じて取り組む分析テーマは、「ドラッグストアの優良顧客理解」です。このケースを軸に、各フェーズでAIをどう活用するかを具体的に示していきます。
