見るべき指標は、AIでの「言及率」と「言及内容」
では、AI検索でのプレゼンスを上げるために、企業は何を指標として見るべきなのでしょうか。筆者がいつも挙げているのは「言及率」と「言及内容」の2点です。
ユーザーが自身に適したサービスを探す際に、自社が言及されることはもちろん、どのような文脈で言及されるかも把握して施策を検討することが重要です。
AIの回答での「言及率」
言及率とは、特定のプロンプトを複数回投げかけたときに、自社がAIの回答に登場した割合を指します。たとえば想定プロンプトを30種類用意し、それぞれを10回ずつ実行して、回答内の言及回数をカウントしていきます。
AIの回答は毎回変化するものの、言及するサービスや企業にはある程度の一貫性があります。たとえば、「おすすめのSEO会社を教えてください」というプロンプトをChatGPT、Gemini、AIモード、AI Overviews(AIによる概要)に40回実行した際の言及率は下表のとおりでした。
| 企業 | ChatGPT | Gemini | AIモード | AI Overviews |
|---|---|---|---|---|
| ナイル | 50.0% | 90.0% | 96.0% | 50.0% |
| B社 | 38.1% | 72.5% | 68.0% | 50.0% |
| C社 | 28.6% | 70.0% | 56.0% | 26.9% |
| D社 | 2.4% | 55.0% | 60.0% | 3.8% |
| E社 | 7.1% | 37.5% | 48.0% | 30.8% |
※どのAIも未ログイン状態で回答を取得
表を見ると、ナイル、B社、C社はかなりの確率で言及されています。特に、GoogleのGeminiとAIモードは言及する企業に高い一貫性が見られます。これは他のプロンプトでも同様の傾向です。自社が言及されたいプロンプトをいくつか用意して、日次や週次で言及率を計測することで、AIの回答内でのプレゼンスを測ることができます。
逆に言及される順番については、どのAIもランダム性が強く一貫性がありません。先ほどのプロンプトを40回実行したデータでも、言及順が1~3番目まで完全に同じだった確率は下表のとおりでした。
| モデル | 1~3番目完全一致率 |
|---|---|
| ChatGPT | 1.4% |
| Gemini | 4.1% |
| AIモード | 3.0% |
| AI Overviews | 0% |
ニッチなプロンプトで候補が絞られているケースでは、ある程度の一貫性が生まれることもありますが、基本的にランダム性が強いためナイルでは観測指標としては採用していません。
AIからの「言及内容」
もう1つの指標が言及内容です。AIが自社を紹介する際の文脈や属性、訴求ポイントが想定通りに伝わっているかを確認する観点になります。
たとえば、「高品質」を売りにしている企業がAIに「価格の安さ」で紹介されていると、ユーザーの期待と公式サイトでの訴求がズレてしまいます。こういった現象が発生していないかを定点観測します。
AIの回答は言及する内容についてもある程度の一貫性が見られます。先ほどの「おすすめのSEO会社を教えてください」を40回実行した回答データを見ると、ナイルは8割以上の確率でChatGPTから「SEOコンサルティングの支援実績が豊富」という文脈で紹介されています。
一方、AIモードやGeminiからは「大規模サイトのSEOに強い」という文脈で紹介されることが多く、どのAIも回答の一貫性は見られるものの、AIごとに紹介する内容はやや異なる傾向があります。
ナイルでは、定期取得している回答データをデータベースに蓄積し、AIを使って言及傾向を分析しています。目視でチェックするのが難しい量のデータであっても、しっかりと整理した状態で蓄積することで、精度の高いAI分析が可能になります。
自社で実施する際は、定点で観測するプロンプトを数個に絞り、週次か月次で取得して言及内容を確認すると良いでしょう。
AIは何を見て、推薦先と推薦内容を決めているのか?
AIが特定の企業を選び、特定の文脈で紹介する背景には何があるのでしょうか。現状、最も影響力があると思われるのは「第三者からの推薦」です。
AIは大量のWebコンテンツを学習しており、自社の主張だけでなく記事、動画、SNSなど、多様な第三者の言及を参照して回答を組み立てています。特に、比較検討するためのプロンプトでは「おすすめ◯選」などの記事を掲載する比較サイトが主な情報源になっています。
つまり、自社の発信だけが整っていてもAIの推薦は得にくいということです。外部からどう語ってもらうのかを考えることが重要です。
現状では、まず比較サイトでの露出を増やすのが有効な対策となりますが、2026年に入ってYouTubeなど他の情報源が引用されるケースも増えています。第三者からの推薦を獲得することは、LLMOだけでなく事業全体にもポジティブに作用するため、AI検索向けの施策に閉じるのではなく、PR・広報の方針とあわせて広く対策を検討するのが良いでしょう。
