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MarkeZine Day 2026 Autumn

事業と人を成長させる「強み」起点のマーケティング思考

戦略を実行できる組織へ。強み軸で成長・成果を最大化させる「マーケティング・マネジメント」とは

リクルート流・新卒育成でも徹底。戦略にも勝る「仕事に向き合う姿勢」の文化

 このフィットネス事業の事例でお伝えしたいことは、成果の実現には「マーケティング戦略+実行可能な組織能力」が必要不可欠であるということです。これが、私が戦略の考え型の次に、組織と人財育成マネジメントの考え型をお伝えしたかった理由です。

 なお、余談ですが、リクルートにも新卒時に徹底して仕事に向き合うスタンスを育てる仕組みがあり、その研修を通じて2年目となっていきます。これも、仕事のスキルというより向き合う姿勢を育てるスタンス教育で、これがリクルートの「当たり前の行動レベルの地盤」にも、「企業文化」にもなっています。

 強い会社には、必ず独自の教育システムが存在しています。その教育システムが組織における当たり前レベルの地盤を創り、企業文化となっていくのではないでしょうか。これが、「企業文化が戦略にも勝る」と言われる所以ではないかと思っています。

 ただし、その企業文化を創る教育システムを創るのは容易ではありません。そして、マネジメントの役割を担えるようになるためには、相当な訓練が必要になります。

 私自身、マネジメントが下手くそすぎて数多くのしくじりをしてきました。30代になってマネジメントの役割を任せていただいたものの、本当に失敗の毎日で、メンバーの方々からいただいたフィードバックに悩み、苦しんだ時代が長くありました。ただ、そのしくじり経験や多くのメンバーの方々からのフィードバックを通して学ばせていただいたことが、自分の会社経営に安定性をもたらしてくれています。

このしくじりから学んだことを結晶化させた考え型が、マーケティング・マネジメントです。その考え方を、次の項からは前提となるマネジメントの定義から、マーケティング・マネジメントの定義までつなげてお話します。

そもそも、組織マネジメントとは何か?

 結論から申し上げますと、私は「マネジメント」を次のように定義しています。

組織マネジメントとは……

人の成長を引き出して、組織成果を最大化すること

 読者の皆様との間で前提を合わせるためにも、この言葉を1つずつ紐解いて相互理解を深めたいと思います。まず、「人の成長を引き出して」の部分です。マネジメントというと、組織や人の管理という言葉を想起する方もいるのではないでしょうか。ただ、それはマネジメントではなく、現状の組織能力での成果を効率的に出すための手法にしか過ぎません。したがって、それは単なる組織運営であり、組織マネジメントではないのです。

 マネージャーに成り立ての頃は、私は成長を引き出すというより、成果を生み出すために管理するマネジメントの仕方でした。自分が成果を出してきたやり方をメンバーにも求め、進捗や数字を管理することで成果を出そうとしていました。しかし、それでは組織が成長しなかったのです。

 持続的な成長を基本とする資本主義においては、組織マネジメントは、事業成長を支える組織の成長を促さなければなりません。そのためには、マネジメントは人の成長を引き出さないと組織成果が上がっていかないのです。これが「人の成長を引き出して」という表現を定義に含む理由であり、この部分をより正確に言語化すると、下記になります。

人の成長を引き出して、

持続的な事業成長を支える組織の成長を促すために、人の成長を引き出して、

 次に、「組織成果を最大化すること」の部分です。この「組織成果」とはそもそも何でしょうか? 成果には様々なものがあり、その表現として様々な言葉も使われます。価値、アウトプット、数字……いろいろなことが成果として謳われています。そのすべては間違ってはいないのですが、私は「その組織の持つKPI」を成果と定義しています。KPIの前提は事業の売上と利益を代弁していることですが、本来組織にはKPIが定義されています。事業成長のために組織として追うべきKPIがあるからこそ、組織が必要となっており、それがなければその組織を創る必要がないからです。

 では、「最大化」とはどのような意味を持つのでしょうか。ここでいう最大化は「継続的にKPIを成長させ続けることができること」と定義しています。

 KPIを最大化するにしても、当然ながらヒト・モノ・カネといったリソースは前提となります。ただ、その前提≒制約の中で、いかに成果を最大化させるかがマネジメントの腕の見せどころとなります。組織マネジメントとは、この3つのアセットのうち、ヒトの能力を変数として最大化させるための手法なのです。

 そして、持続的な事業成長を実現するためには、持続的な“組織”成長も必須となります。その持続性を仕組み化するためには、優秀なマネージャーに帰属するような属人的なものではなく、自律的に人と組織が育つマネジメントの手法を定着させることが重要なのです。

 したがって、「組織成果を最大化する」とは、「その組織のKPIを持続的に最大化する」ということを意味しています。

 まとめると、組織マネジメントの定義は次のとおりになります。

組織マネジメントとは……

持続的な事業成長を支える組織の成長を促すために、人の成長を引き出して、その組織のKPIを持続的に最大化すること

 この定義を前提として、今後組織マネジメントのお話を展開していきたいと思います。

次のページ
マーケティングにひもづく組織マネジメントとは何か

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この記事の著者

金井 統(カナイ オサム)

NexGen Inc. CEO
新卒でNTTドコモに入社。端末のマーケティングを経験した後、iモードでビジネス展開をする会社へのコンサルティングに従事。その後、リクルートへ転職。マーケティング室のVP(ヴァイスプレジデント)として、横断の人材育成・知見流通とHR領域のマーケティング責任者を担当。HR領域におけるToC及びToB双方のプロダクト横断での事業・マーケティング戦略、ブランディングからdirectADやSEO等のネットマーケティング、...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/06/05 08:00 https://markezine.jp/article/detail/50841

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