仕分けが難しい「新しいタイプの広告費」が出現
いま拡大している広告収益の出どころは、従来の広告宣伝部の予算だけではない。情報システム部、経営企画部、業務改革推進室、あるいはCFO直轄のAI予算。これらの予算が、AnthropicやOpenAIのEnterprise AI、Amazon、Meta、MicrosoftのAI広告API、TikTokのSymphonyのような生成AI広告システムに流れ込み始めている。
これらの支出は、伝票上は「ITサービス費」「業務システム費」として処理される。だが、経営陣が期待する効果は単なる部門の業務効率化ではない。リード(見込み顧客)の獲得であり、売上の増加であり、顧客接点の自動化である。経営視点から見れば「新しいタイプの経営投資(広告費)」に他ならない。広告費なのか、ITサービス費なのか――お金の流れの境界線が溶け出している。
LLMO、AEO、GEO:それぞれ別の予算ラインで運用するフェーズに
新しい広告予算の最初の出口は、「AIに自社を上位で覚えさせる」「AIの回答面に出させる」ためのコストである。検索結果で上位に出ることではなく、AIエージェントの選択肢に入ることが新たな目標や指標になる。
この領域の予算は、業界で LLMO(LLM Optimization)、AEO(Answer Engine Optimization)、GEO(Generative Engine Optimization)と呼ばれている。似た言葉に見えるが、目的地はそれぞれ違う。
- LLMO:AI学習データそのものにのるための活動、SEOの延長に近い
- AEO:AIがネット上のより精度の高い情報を考えて返す「即答」にのるための活動
- GEO:検索拡張型(RAG)のAIがネット上の情報や分析を編集して提案回答にのるための活動
日本では、まだこれらを全部まとめて「AI最適化を急げ」として議論している段階にある。しかし米国では2026年に入り、この3つを別々の予算ラインで運用する段階に入った。
たとえばネット上での「AI最適化」に見えるGEOへの投資は、「旧・SEO予算」の入れ替えではない。SEO予算は、年次で少しずつ積み上がる地味な社内作業費であり、動きとしては固定費に近い。GEOはむしろ「広告予算・販促費」として流入する外部向け性格を持ち、単発・大型の支出として常に動く。具体的には、コミュニティ運営、サードパーティへの記事化、コンテンツのライセンス契約などが該当する。これは雑誌やテレビの広告枠を買い付ける動きに近い。
この認知への流れが変われば、投資先の流れも変わる。ここに、「AIアテンションエコノミー」の新しい景色がある。
