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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2026 Autumn

MarkeZine20周年特別企画

西口一希氏と振り返る、マーケティングの20年。「WHOとWHATの距離が近づく」時代の乗り越え方

「How」の8割はAIが代替する。マーケターが負うべき「責任」

MZ:手法(HOW)が多岐にわたり増え続ける中で、マーケティングやマーケターが果たす役割はどう変化してきたのでしょうか。

西口:変わったこととしては、まずマーケターの役割範囲です。20年前、マーケターの中心的な役割は「メディア戦略の立案者」「広告の制作者」「ブランドの守り手」でした。現在は「顧客体験全体の設計者」「データとAIを使った継続学習システムの運用者」へと、範囲が大きく拡張しています。さらには、「生成AIを前提とした業務オペレーションの再設計者」や「組織内の知見をAIに結びつけて学習可能な資産にするナレッジ・アーキテクト」としての役割まで問われ始めています。

 また、捉えられる顧客解像度も変わりました。20年前は粗い解像度でしか顧客を理解できませんでしたが、現在は購買履歴・行動ログ・問い合わせ内容など多様なデータで、細やかな解像度で個別の顧客を捉えられるようになりました。同時に、「データに溺れて本質を見失う」リスクも新たに生じています。

 意思決定の時間軸も変化しました。20年前は、ブランド戦略を年単位、商品開発を半年から数年単位で動かしていました。現在は週次・日次でPDCAが回り、AI時代には実時間での自律最適化さえ視野に入っています。

 そして、最も大きな地殻変動は「HOWの自動化と、経営(PL責任)へのシフト」です。メディアプランニング、バナーやコピーの生成、各種広告の運用や分析といった、デジタルデータで管理・最適化できる領域の実務のうち、およそ8割方はAIが自動化できる時代に入っています。

 すると、「デジタルマーケティング」という部分最適に特化したキャリアの寿命は縮まります。これからのマーケターが目指すべきは、明確に「財務責任を持つ経営レベル」へのシフトです。

 獲得数やCV数などの部分的な指標を追うのではなく、短期・長期の売上と利益に責任を持ち、商品開発から製造・物流、カスタマーサクセスまで全体のバリューチェーンを見渡した上で、「誰に(Who)何を(What)」売るかをディレクションできる経営視点。これこそが、AI時代に最も先鋭化していくマーケターの役割定義だと考えています。

20年経っても変わらぬ、マーケティングの本質

MZ:逆に、時代を越えて「変わらない本質」もあるのでしょうか。

西口:20年経っても揺るがない点は、第一にマーケティングは「WHO(誰に)・WHAT(どのような便益と独自性を)・HOW(どう届けるか)」を設計する営みだという原則です。HOWは無限に多様化・AI化しますが、その源流にある「WHOにとっての価値(WHAT)」を人間が定義しない限り、いかなるAIツールも空転するだけです。

 逆に、このWHO・WHATが研ぎ澄まされていれば、HOWは時代の最適解を選び続けることで価値を最大化できます。これは私が一貫して述べてきたことであり、AI時代に入ってから、むしろこの本質の重要性は増しています。

 第二に、「N=1(個人)の解像度なくして、N(全体)の戦略は設計できない」ということ。AIは過去の学習データから相関の発見や筋の良い提案をするのは得意ですが、自ら意思決定や責任を負うことはしません。データが大規模化し、AIが自動分析を担うようになった現在こそ、一人の生活者の物語を深く理解する「N1分析」の価値は高まっています。「なぜその一人がそう感じたのか」という因果と意味を構造化し、責任を持って決定するのは人間の仕事です。

 第三に、ブランドが選ばれるためには「便益(顧客にとっての価値)」と「独自性(他では得られないこと)」の両方が同時に成立する必要があるという原則です。この両立を生活者の心の中に設計することが、20年前も今もマーケティングの中核にあります。

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AI時代は「WHOとWHATの距離が縮まっていく」?

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この記事の著者

吉永 翠(編集部)(ヨシナガ ミドリ)

大学院卒業後、新卒で翔泳社に入社しMarkeZine編集部に所属。学生時代はスポーツマーケティングの研究をしていました。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/06/15 08:00 https://markezine.jp/article/detail/50867

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