調査設計時から分析を意識する:指標の取り方と組み合わせ
顧客満足度調査を例に見ていきましょう。顧客満足度調査でよくある失敗は、項目別の満足度だけを聞いて終わってしまうケースです。項目別の満足度が以下のようなグラフででてきたとします(図表3)。
グラフを見て満足度が低い項目を改善する考え方は一見わかりやすいですが、それだけでは優先順位を誤ることがあります。ここで満足度に加えて「顧客にとっての重要度」も聴取し、マトリクスを作ったらどうでしょうか(図表4)。
同じ低い満足度の中でも、「稼働の安定性」「処理速度」(図の赤領域)と「他システム連携」(図のグレー領域)では重要度が異なり、どちらの施策を重視すべきかが明らかです。
また、高い満足度の中でも「導入のしやすさ」など緑領域は重要度が低いため、これ以上この領域に注力する必要性は低いといえます。一方で、「基本機能」「操作のしやすさ」など青領域は、満足度に加えて重要度も高いので、今の結果に甘んじず改善・向上の継続が必要です。
このように指標を組み合わせて的確な施策につなげるためには、設計段階でどういった分析をすれば有効なのかを決めて、調査項目やデータ収集項目を決めておく必要があります。
満足度や重要度だけでなく、顧客を分類するセグメント、業務プロセスの分解、リードタイム、売上に関わる各種KPI指標など、「ビジネスにおいて必要な要素」をあらかじめ決めて調査設計をすることが、有効な分析のためには重要であると意識すると良いでしょう。
ビジネスデータへの応用:見るべきログを取り、動きに変える
ここまで述べてきた「分布を見る」「比較する」「ローデータや自由回答を読む」「設計時から分析を意識する」という視点は、調査データだけでなく営業やマーケティング、業務プロセスのデータにも応用できます。
業務ログをとる粒度の重要性
後から分析できる形で業務ログを取っておけば、日々の業務そのものが分析可能なデータになるのです。
例として、あるBtoBサービスで受注から納品までの平均リードタイム(一連の所要時間・期間)が前年より伸びていたとしましょう。全体平均だけでは、「各工程の業務が一律に遅くなった」と判断するかもしれません。しかし、工程別に分解すると見え方が変わる可能性があります。たとえば、図表5のように「仕様確認→作業開始」だけが大きく伸びていた場合、課題は「仕様確認→作業開始」にあると特定できるのです。
施策に落とし込む際に、全体平均のみを見ただけでは全工程に対して一律の改善策を打ってしまうかもしれません。特に製造業の場合、主要な製造工程の問題に着手しがちです。しかし、工程別に分解すれば、どこに滞留があるのか、どこから手をつけるべきかがわかります。
課題を正確に特定するには、分解できる粒度でログを取っておくことがポイントです。
ログを取る時は「逆算して設計する」
この視点はリードタイムに限らず、リードの商談化率や失注理由、施策のコンバージョン率などさまざまな業務ログも同様です。
もうひとつ、売上の進捗管理の例を見てみましょう。売上の進捗管理では、月末に前年比を見るだけでなく、前年と今年の日次進捗率を重ねて比較する方法があります。これにより、前年同月の売上の積み上がりに対し、今年がどのペースで進んでいるかを日次で比較できます(図表6)。月の途中で「今年はペースが遅い」「後半に受注が偏りそうだ」といった兆しを捉えやすくなります。
これは単なる売上管理ではありません。月中の段階で異変を見つけ、施策や営業活動の見直しにつなげる、早期に変化を捉えるための分析です。
こちらも先ほどのリードタイムの例と同様で、日次の売上や受注データを、前年同月と比較できる形で蓄積しておく必要があります。ログはただ残すのではなく、何と比較し、どう分解したいかを逆算して設計することで初めて使えるデータになります。
