コロナ禍を経てアップデートされた「令和の甲子園」の変遷
コロナ禍以降実施されている2021年〜2025年の大会について、界隈内の反応と合わせて見ていきます。
2022年、仙台育英が東北勢として初優勝。優勝インタビューで須江監督が語った「青春って、すごく密なので」は、その年の「新語・流行語大賞」の特別賞に選ばれました。このムーブメントはまさに、【高校野球ファン】→【青春追体験層】→【母校・地域】の共感インサイトの広がりにより、界隈がマスに影響を与えた一例だと考えています。
この現象の背景には、大きく3つの要因がありました。第一に、須江監督が著名な指導者として【高校野球ファン】から厚い支持を得ていたこと。第二に、コロナ禍という制限の多い環境で部活動に励む学生たちへ、【青春追体験層】をはじめとする多くの生活者が深いシンパシーを抱いたこと。そして第三に、大きな震災を乗り越え、東北地方に初めて優勝旗をもたらした【母校・地域】への祝福です。これらが重なり合うことで、界隈の共感ムーブメントが最大化されたと分析しています。
2023年には、従来の「野球部」イメージにとらわれない“令和らしい”スタイルで優勝した慶應高校が話題に。界隈内で様々な意見投稿が見られましたが、コロナ禍を経て令和の時流の中で界隈全体の認識がアップデートされていく1つの契機だったと振り返ります。
SNSデータから読み解く、第107回大会のインサイト
記憶に新しい昨年大会は、沖縄旋風と言えるほど地域一体となった熱量と感動がありました。この2025年大会について、SNS投稿データを元に高エンゲージメントを獲得している事象をご紹介します。
「甲子園」「野球」というワードを含む2025年7月1日〜2025年8月31日の投稿エンゲージメント総数は、約1,160万にのぼりました。前年度(2024年7月1日〜2024年8月31日)は約91万エンゲージメントだったので、この1年間で1,170%アップという結果です。「甲子園」という単語をつけずに、実況や感想などが投稿されているケースも踏まえると、SNS上にはさらに多くの甲子園関連投稿が出現していたと推察されます。
グラフの通り、大会期間中のエンゲージメント推移は試合内容などによって日ごとに増減が激しいのですが、今回は特にエンゲージメント数が伸びている日について下記にまとめてみました。
(クリックすると拡大します)
8月17日は今大会イチと言われた見応えある試合内容への反響はもちろん、とある【母校・地域】に属するユーザーが投稿した動画に大きな称賛が寄せられました。敗退した選手たちがグラウンドを去る際、勝利した学校の選手1人ひとりに「次もがんばれよ!」と声掛けをしている動画です。
スポーツマンシップあふれる姿勢を捉えたその動画は約145万リーチに達し、【高校野球ファン】【青春追体験層】からも「讃え合う姿に感動する」趣旨のコメントや引用リポストが大きく拡散しました。スポーツを通じた人間性の高め合いを信じる界隈心理が存在しており、そういった姿勢が垣間見えるコンテンツには多くの関心が集まることがわかりました。
