クライアントの本音に共鳴し、辿り着いた広告手法とは?
MZ:ターゲットが「地方の高校生や高専生」と決まってからも試行錯誤が続いたそうですね。
鈴木:いろいろとご紹介いただきましたが、どれも決め手に欠けました。それでもオリコムさんは諦めることなく、何度も足繁く通ってくださいました。私たちは広告のプロではないので、一方的に手法を説得されるのではなく、知らない視点を教えてもらいながら一緒に悩み抜いてくれる関係性がありがたかったですね。
私たちのちょっと青臭い情熱といいますか、「実は世の中にこう見られたいんだ」という本音の部分に対しても、松木さんは同じ目線に立ち、むしろ一緒に楽しんで受け止めてくれている感覚がありました。
松木:何度もお話しする中で、鈴木さんから「実は裏テーマは『世直し』なんです。紙や森に興味・関心を持ってもらい、正しい理解につなげたい」という言葉が出てきた瞬間があったんですよね。その情熱に猛烈に心を打たれました。

松木:単に一方的なメッセージを打ち出すのではなく、「届けるべき人に、届く場所で深く響く方法」はないかと模索し続けました。そうして最終的に行き着いたのが、若者が自発的に参加して企業の姿勢に触れられる「音声コンテンツ(ラジオ×クイズ企画)」というアプローチだったんです。
リーチ数ではなく「伝わり方の質」が生んだ確信
MZ:王子HDが「音声コンテンツ(ラジオ×クイズ企画)なら自分たちの想いが届く」と確信できた決め手は何だったのでしょうか?
鈴木:ラジオは「見るメディア」ではなく「聴くメディア」なんだ、ということを改めて教えてもらった時、率直に「新鮮で面白いな」と思ったんです。
ラジオはテレビと比べると古いメディアと思っていたんですが、番組ごとに属性がはっきりしていて、若年層だけが聴いている番組もあることも教えていただきました。
地方の高校生や高専生にどう届けるかを考えたときに、テレビCMで15秒間「王子HD」と伝えていくことにも意味はあると思っていますが、それだけでは心に残らないだろうなと。聴くメディアであるラジオなら、もう少し時間を使って伝えられるのではないか、という話になりました。

鈴木:正直、単純なリーチ数や聴取率といった数字だけで評価していたら、この提案は絶対に選んでいなかったと思います。中高生から圧倒的な支持を集めるラジオ番組を軸に、「全国の数万人の高校生に深く刺さる、伝わり方の質」を提示されたとき、思わず膝を打って「今日の提案が一番良い!」と口にしていました。私たちの想いと、メディアが持つ熱量をどう結びつけるか──その文脈の設計が見事だったんだと思います。
【関連リンク】
王子ホールディングスが若年層との対話として展開した音声コンテンツ施策の特設サイトはこちら: TOKYO FM「SCHOOL OF LOCK! 森林部」
松木:今回のイシューの場合、王子HDさんの想いを単純にメッセージとして詰め込むのではなく、若い世代と対話するように届けられる形はないかと考え抜いた結果です。森林に関連したクイズという参加型の仕組みを取り入れることで、王子HDさんの多角的な魅力や事業の背景を、楽しみながら知ってもらえるアプローチに辿り着くことができました。

