「AI-free」をプロダクト価値にするSNSも登場
この現象は広告だけにとどまらない。
2026年4月に正式ローンチした短尺動画SNS「Divine」は、「Human-first, AI-free social media」をサービスそのものの特徴として掲げる。
DivineはTwitter共同創業者のJack Dorsey氏の支援を受け、かつて人気を博した「Vine」の約50万本の動画、約10万人のクリエイターのアーカイブを復元したサービスだ。新たに投稿できるのも6秒動画だが、特徴的なのはAI生成コンテンツを排除していることにある。
Divineの創業者Rabble氏は、プロジェクトの原点について「インターネットがクリエイティブで、オープンで、疑いようもなく人間的だった時代と再びつながる」ためだったと説明する。
人気VineクリエイターのJimmyHere氏もDivineについて、かつてのVineには「AIも、過剰なブランド案件もなかった」と振り返っている。
つまり、ここでは「人間しかいない」という制約そのものがプロダクト価値になっている。これは、AI生成コンテンツが増え続けるSNSに対するカウンターポジショニングと考えられる。
「Human-made」は自己申告から「認証」へ
さらに興味深いのは、「Human-made」が自己申告から認証へ進み始めたことである。
2026年4月、映画やテレビ、広告映像を対象とする「The Human Made Mark」が正式にグローバル展開を開始した。
仕組みはフェアトレード認証に近い。
映画やCMの制作者は、撮影時のコールシート、舞台裏写真、クレジットリスト、完成映像などを提出する。さらに「制作において人間のアーティストをAIで置き換えていない」という法的宣誓を行い、審査を通過すると、作品の冒頭やエンドクレジットにHuman Made Markを表示できる。
認証側はその目的を明確に「Human Made作品にプレミアムを生み出すこと」と説明している。
さらに同団体は、スーパーマーケットでFairtradeロゴが倫理的な商品選択を促すように、Human Made Markによって視聴者の選択を促し、人間のアーティストを起用する映画会社やブランドが報われる状態を目指すとしている。
「Human-made」とオーガニックやフェアトレードとの類似は、もはや比喩だけではない。認証を作る側自身が、同じ発想で制度設計を始めているのである。
同様の動きは他にもある。「Made With」は制作物への生成AIの関与度を「Human」「Human-led」「Blended」「AI-led」「AI-generated」の5段階で表示するオープンな仕組みを提供している。
別のオープン仕様「Made Mark」も、「Human Made」「Human Designed, AI Made」「AI Made」という3分類を用意している。
まだ統一規格にはほど遠い。しかし、「AIを使ったか否か」ではなく、「人間とAIがそれぞれどこまで関与したのか」を可視化する市場が生まれ始めていることは確かだ。
