過激な演出の裏にある緻密なブランド戦略
──制作会社であるカヤックとの協業はどのように始まったのですか?
橋本:実は、私から直接カヤックさんに問い合わせをしました。「こういう動画を作ってこういう風にしたい」と目的をすべて書いて送ったところ、反応をいただきスタートしました。過去に大掛かりなアトラクションを用いたバラエティ番組や、爆破などの特殊演出を取り入れた特撮ヒーロー作品などに携わった方々にご参加いただき、本格的な爆発や演出を作り込んでいただきました。
──動画プロジェクトを進めるにあたって制作会社とすり合わせたポイントを教えてください。
橋本:まずは「目的の明確化」です。内定辞退率を減らすために、「段ボール最強」「段ボールが大好きになる動画を作る」という大テーマを全員で共有しました。
もう一つは、「段ボールを好きになる=うちの技術を好きになってもらう」ということの徹底です。たとえば、ヘリコプター編では、地上100メートルから落としても中のワインが割れない段ボールを作れるか? がテーマです。段ボール自体の強度だけでなく、衝撃に強い段ボールを設計できる技術力が裏側にあります。このように、設計の素晴らしさと技術力の高さを伝えることが外せないポイントだとお伝えしました。
動画で使った段ボールの設計には2~3ヵ月を要しています。技術者が悩みながら衝撃や火に強い段ボールを設計する様子を動画に含め、ただ過激なだけではないことがわかるようにしました。
──あえて過激な演出を選んだ理由はあるのでしょうか。
橋本:ご提案いただいて、VS動画の企画になりました。情勢を考えると「どうなの?」という声も受けますが、想定内です。私たちは地震の支援などを行っていますが、支援に対しても批判的な意見を受けることがあります。良いことをしてもネガティブな意見が出るのですから、否定的な意見は反響の大きさに比例すると考えています。そのため、過激さに対してNOを出すことはしませんでした。
選考プロセスと連動したナーチャリング戦略
──完成した動画はどのように活用されているのでしょうか。
橋本:YouTubeは格納庫として位置付け、SNSで発信を行っています。また、動画の公開タイミングを空けすぎると忘れられてしまうので、ショート動画を含めて2週間ごとに新作を集中的に公開していきました。
そして、採用プロセスにおいては段階的に動画を学生に見せています。就職フェアで1本目を流して興味を持ってもらい、会社説明会で次の動画を、一次面接までの間にLINEなどデジタルチャネルで3本目の動画を紹介し、さらに面接時や最終面接でもそれぞれ異なる動画を見てもらっています。
全部で5種類の動画があり、途中には動画の説明用冊子も配布します。少しずつ当社や段ボールへの理解を深めてもらい、最終面接の頃には学生が段ボールへ強く関心を抱いている状況を作ろうと実践しています。
