最新技術とデータ共有が支える現場の即時改善
━━多様なテナントやスタッフが混在する中で、サービスの品質を維持・向上させるためのルールや仕組みはありますか。
「サービス向上プロジェクト」を立ち上げ、ゲストに忘れられない一日をお届けするための共通の行動指針として、「9 ACTIONS」という9つの基本行動を定めています。施設内にはさまざまなパートナーやスタッフが関わっていますが、ゲストに一貫した体験価値を提供できるよう、2週間に1回程度の勉強会を通じて継続的な浸透を図っています。
また、全社で3連戦ごとに担当者を決めてFビレッジと球場をお客様視点で回るウォークスルーを実施し、良かった点や改善点をまとめて全社にレポート発信しています。また、ルールで細かく縛るのではなく、お客様がどう感じるかを基準に、各店舗と対話しながら改善を進めています。
━━現場で起きたトラブルなどを、即座にオペレーション改善へつなげる工夫はありますか。
MLBなど海外のプロスポーツでも導入されている施設管理プラットフォームを導入し、1日のインシデントを全て記録しています。多い日には約100件の報告があり、そのうち6割は飲みこぼしに関するものです。こうした情報を集約することで、球場内で発生している課題を可視化し、改善につなげています。
現場スタッフがシステムに打ち込むと、対応済みや未対応が色でわかる仕組みです。
さらに、「エンタメオペレーション」という当日何が行われているかが可視化された社内資料を作成し、試合日の朝礼で共有しています。 日ごとに異なるイベントやサービス、タイムスケジュールに加え、SNSで話題になっている内容なども掲載し、全スタッフが同じ情報を共有できる環境づくりを進めています。
「まず挑戦、磨き上げる」——高速PDCAで体験価値を高める
━━アンケートやミステリーショッパーなど、定性・定量の調査も実施されていると伺いました。
年に3回、約200名規模のミステリーショッパーを実施するほか、個別インタビューで深い声も拾っています。
また、アプリを通じたアンケート設計も見直しました。昨年までは「非常に不満/不満/どちらでもない/満足/非常に満足」の5段階評価としていましたが、満足度向上のための課題をより明確に把握できるよう、「不満/やや満足/満足/かなり満足/非常に満足」とすることで、
中立的な選択肢をなくし、より解像度の高いお客様評価を把握できるようにしています。
━━新しい施策に挑戦する中で、当初思っていなかった失敗や落とし穴はありましたか。
わかりやすい例で言うと、2025年に球場内でカラオケ大会を実施した際、最初は「うるさい」「野球を観に来ているんだ」というお声を頂きました。しかし、施策をやめるのではなく、場所や音量を変えるなど改善を試みて再挑戦しました。
エスコンフィールドHOKKAIDOは開業後も進化を続けているため、最初から完成系を目指すのではなく、まずは挑戦し、お客様の声や行動をもとに改善を重ねながら体験価値の向上につなげています。
カラオケ大会を実施したのも、イベントとして楽しんでいただくための施策であり、最終的にはアプリで選ばれた5名が試合後のグラウンドで歌えるというゴールを設定して盛り上がりました。
最初は野球が好きでなくても、球場に来て楽しいと思ってもらい、最終的に野球に興味を持ってもらうアプローチも大切だと考えています。
