お金の流れを記録した財務諸表
企業のお金の流れを正確に記録したものが財務諸表です。そのうちの1つ損益計算書(PLとも呼ばれる)は企業が何にお金を使って、どのくらい利益を出したかという成績を、月次、四半期、半期、通期というように期間を区切って確認するための資料です。貸借対照表(BSとも呼ばれる)は、毎年の成績を積み上げて、どこからお金を集めて、どういう資産を持っているか、企業のトータルでの体力や資産状況、負債状況を確認するための資料です。
極端に単純化した例では、「お金を増やせる力」と定義した「企業価値」は、こういったPLやBS、あるいは株価といった様々な「お金」の記録の項目をもとに算出しています。ここはマーケターが、たとえばシェアやブランドの第一想起率、CVRやCPAを追う感覚に近いかもしれません。その進捗を見て、「良い/悪い」を判断します。
一方で、「企業価値」には実に様々な算出方法や考え方、トレンドがあり、各社どれをKPIとするかは、それぞれの経営方針や会社のステージによって大きく異なります。わたし自身もまだこのKPIに関しては勉強中ですが、たとえば、集めてきたお金をどの程度、効率的に増やせたかどうかを測るときには、ROE(自己資本利益率)やROIC(投下資本利益率)といったKPIが用いられます。上場企業であれば、時価総額(株を全部売ったとき得られるお金)が純資産(持っている資産を全部売ったときに得られるお金)の何倍に相当するか(持っている資産より、将来性も加味された市場の評価のほうが高いかどうか)といったPBR(株価純資産倍率)という指標が参照されます。
常に第三者から評価される企業価値
経営企画がマーケターと違うのは、アナリストから「あそこは企業価値が低い」とダイレクトに評価されたり、投資家から「投資判断の参考にするので、御社の●●について説明してください」と問い合わせを受けたり、株主から「●●に比べてKPIが●%悪いので改善計画を検討してください」「株主配当を出してください」という要望をもらったりと、第三者を含む様々なステークホルダーから直接、評価を下されることがある点です。もちろん、実際にはIR部などと連携して対応しますが、提起された論点の認識や提示すべき解決策は、主として経営企画が担います。
わたしが実務を通して、マーケターと最も違うと感じたポイントはここです。企業価値のKPIは公開されているお金の項目があれば算出できるので、自社の経年比較はもちろん、同業他社や同規模の企業、あるいは業界平均との比較検討が可能です。経営企画は、こうした定量的な根拠や比較による問題提起等によって、様々なステークホルダーから評価され、問われ、彼らに説明する責任を負います。数字に強い銀行出身の方が経営企画職に就かれることが多かったり、綿密な予算管理をしたりするのはこのためです。
仮にマーケターが、自社商材のブランド認知率やCPAといったKPIを第三者から評価され、改善を求められることを想像すると、なかなか骨が折れる作業と理解できます。ブランドの置かれているステージやマーケットの動向、競合の動き、クリエイティブの出来不出来、出稿量など、様々な要素の組み合わせによってKPIは進捗します。競合との比較や、単純な高低だけで評価すべきではないときがあるからです。
さて、そういったミッションを担う経営企画が当社にブランドの相談を持ち掛ける背景には何があるのでしょうか。
