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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2026 Autumn

事例を通して見る世界のマーケティング/ブランディングのトレンド

ゲームは現実と地続きになった。37億人の「新しい日常」とブランドの向き合い方

ゲーム内の蓄積が、「資産」へと変わるとき

Banco del Pacífico「Gamer Loan」

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動画より

 家も車もない。それでも、彼らには銀行が見落としていた資産がありました。それはゲームのアカウントです。

 エクアドルでは、若者の10人に8人が従来の担保条件を満たせず、融資を受けられません。一方、ゲームの中には、彼らが時間とお金をかけて集めたアイテムや実績が蓄積され、現実の市場でも売買されていました。若者に資産がないのではなく、銀行がそれを資産として見ていなかったのです。

 そこでBanco del Pacíficoは、ゲームアカウントを担保に融資する「Gamer Loan」を開発。専用サイトでアイテムなどの市場価格からアカウントの価値を算定し、担当者が所有権と価格を確認した上で、48~72時間以内に融資を審査する仕組みを整えました。

 結果、30歳未満からの融資申請は248%増加し、開始1ヵ月で約28万ドルを事前承認。銀行が若者に合わせて「資産」の定義を書き換えることで、融資の機会と新しい顧客の両方を生み出したのです。

Clash Royale 「Copycats Welcome」

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動画より

 ゲーム内のデータを「価値あるもの」として変換するアプローチは、プレーヤーが費やした時間や努力にも新しい光を当てます。

 「Clash Royale」は、内容やキャラクターをまねたコピーゲームに長年悩まされていました。しかし、それらを訴えて排除する代わりに、そこで遊ぶプレーヤーを本家へ迎えるキャンペーンを実施。コピーゲームで貯めた通貨や進行状況を、「Clash Royale」の報酬に交換できるようにしました。

 別のゲームへ移ればゼロになるはずだった時間や努力を、本家でも使える価値に変えたのです。この施策は大きな話題を呼び、開始5日間で230万人以上が利用しました。

ゲーム中の資産が、新しい経済圏になる

 このように、かつてはゲーム内のアイテムや通貨は、ゲームの中だけで意味を持つ「ただのデータ」と考えられていました。ところが今では、特定のゲームという境界線を超えて、売買によって価格がつき、ときには税金や法律の対象になるものも現れているのです。

 新しい経済圏の出現とともに、今後ブランドに求められるのは、プレーヤーが既に築いていた実績を認め、別の場所で使える形に変えることかもしれません。別のゲームでの報酬や、会員向けサービス、金融サービス。プレーヤーがそこで築いた価値を、境界を越えて使える価値に変えていく発想が求められています。

一本のパスが、ブランドとの接点になる

Burger King - Burger to King

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動画より

 公式スポンサーになれない。それなら、ゲーム実況に「Burger King」と言わせよう。

 世界中で遊ばれている人気サッカーゲーム「EA SPORTS FC 25」。若いゲーマーと接点を持ちたいBurger Kingにとって、絶好の舞台でした。ところが、競合のMcDonald’sが既に公式パートナー。Burger Kingが入り込む余地はないように見えました。

 そこで見つけたのが、ゲームの仕組みを利用した抜け道。ゲームに実名で登場する1万7,000人以上の選手の中には、「Burger」と「King」という名字の選手がいました。この2人を同じチームに入れ、BurgerからKingへパスを出すと、AI実況が「Burger to King」と読み上げる。たった一本のパスが、ブランド広告に変わるのです。

 Burger Kingはそのプレー動画をSNSへ投稿した人にクーポンを配布。開始1週間でブランド名は20万回以上読み上げられ、投稿は200万人以上に到達。スポンサー枠を買うのではなく、ゲームのルールを読み解き、存在しなかった広告枠をつくり出したのです。

リアルでの報酬が、ゲームの新しい遊び方を生み出す

 調査によると、ゲーマーがブランドに期待する報酬は多岐にわたりますが、最も求められているのは「現金や商品」といった日常生活で使えるものです。ゲーム内での挑戦が、画面の外でも嬉しい体験につながる。そこにこそ、ブランドが提供できる価値があると考えられています。

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 「Burger to King」の事例が示しているのは、そうしたプレーヤーの期待や遊び方を深く理解した上で、キャンペーンが構築されている点です。思わず試したくなる、誰かに見せたくなるような挑戦を用意し、その成果にリアルな報酬できちんと応える。この心地よい関係性を設計することが、ゲームを通じて生活者と結びつく有効な手段となるのでしょう。

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傷ついたプレーヤーに、助けを求める場所を

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この記事の著者

北市 卓史(キタイチ マサシ)

HAVAS JAPAN 株式会社   Executive Director

営業職をベースに、国内と海外にて広告代理店の会社/新規事業立ち上げに従事。2022年より世界149カ国にオフィスを展開する広告代理店であるHAVAS社の日本法人の現職に就任。多様性のある職場や働き方、他国オフィスとのオペレーシ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/09/29 08:00 https://markezine.jp/article/detail/77623

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