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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2026 Autumn

マーケティング最新事例 2026

レノボが挑んだ極限のスポーツテック。CMOが語る、2026年W杯の熱狂を支えた取り組みとローカル戦略

運営・放送・ファン・競技の4領域を支えるテクノロジー

MZ:具体的に、大会を通してどのような支援を行われたのですか。

ルービン:今回は大きく4つの柱でサポートさせていただきました。それぞれの柱において、大会を通して多数のソリューションを提供しておりますので、ここでは具体例としてその一部を紹介します。

 1つ目は「大会運営」です。FIFAは、大会期間外は数百人規模の組織ですが、4年に1度の開催に合わせて何万人という規模にスケールアップします。特に、今回は3ヵ国での共催であり、国をまたいで16のスタジアムで104試合が行われました。私たちはデジタルワークスペースソリューションを活用し、リモートの場所からでもデバイスの問題を感知・管理できるサービスを提供しました。また、人数の増減に即座に対応できる体制の整備や、サステナブル活動の一環でもあるデバイスを再整備して提供する「リファービッシュプログラム(Lenovo認定済み再生デバイス)」を通じて、運営側の負担を軽減するサポートを行いました。

 2つ目は「放送(ブロードキャスティング)」です。会場におけるテクノロジー環境の構築やセキュリティ対策に加え、ダラスの国際放送センター(IBC)からAI活用と高度なコンピューティング基盤を通じて全試合の瞬間を世界へ届ける体制を支えました。超低遅延の動画ストリーミング環境を実現するとともに、大会史上最大規模となる放送オペレーションの運営にも重要な役割を果たしています。

 3つ目は「ファン体験(ファンダム)」です。たとえば、自分の顔を取り込み、好きなチームのユニフォームを着た姿を生成するホログラム技術を提供しました。遠方からはるばる母国を応援しに来たファンにとって、その体験を持ち帰りSNSでシェアできることは大きな喜びです。テクノロジーを通じてファンの熱狂を拡散し、愛情を表現できる場を創出しました。この他、VIP向けシートではラグジュアリーな体験の一環として、タブレットで随時プレイシーンを見直せる環境も提供しました。

 4つ目は「チーム・競技」です。私たちが共同開発した「FIFA AI PRO」というシステムにより、FIFAが保有する膨大なデータをアップロードし、各国のチームが相手国や自身のプレイを分析できるようにしました。人口規模の小さな国のチームが強豪国と対戦する際にも、このシステムを活用することで個々の選手の戦術や特有の動きを事前に学ぶことができ、テクノロジーがチーム運営や勝つための戦術構築に貢献しています。

「FIFA AI Pro」画面イメージ(出典:プレスリリース)
「FIFA AI Pro」画面イメージ(出典:プレスリリース)

ルービン:また、審判が着用したボディカメラの映像をAIでリアルタイムに滑らかな映像へと変換する「レフェリービュー AIスタビライザー」も提供しました。これにより、審判の目線に立った臨場感あふれるシーンの放送が可能になります。映像が滑らかすぎると臨場感が薄れるため、あえて少しブレを残すことで、臨場感あふれる感覚を味わうことができます。

 裏で高度なテクノロジーが動いている一方、それに気付かず純粋に興奮を味わえることこそ、素晴らしい体験といえます。

MZ:一方で、ブランド戦略の観点からすると、「レノボのおかげだ」と気付かれないことに懸念はありませんでしたか?

ルービン:たとえば、決定的なシーンが繰り返し放送される際に、そこにレノボのロゴがしっかりと掲出されています。露出すべき場とそうでない場を明確に区別し、戦略的にスポンサーシップによる認知を高めることができました。

 同時に、テレビ広告などを通じて「レノボはテクノロジーの会社である」というメッセージを総合的に伝える戦略も取っています。「レノボのロゴを至る所で見た」という声が多く寄せられ、スポンサーシップの効果を実感していますね。

 今回実証した各種テクノロジーは、FIFAの取り組みを起点として、2027年の女子ワールドカップやF1、さらにはライブコンサートやビジネスなど、様々な領域へ展開可能なものと考えています。

『キャプテン翼』コラボに見る、市場に寄り添うローカライズ戦略

MZ:世界規模での取り組みについて聞いてまいりましたが、ここからは日本国内に向けたキャンペーンについてもうかがいます。国内市場にローカライズされたアプローチ戦略としては、どのようなことをされたのですか。

ルービン:グローバルでは「World Gone Football」というスローガンのキャンペーンが展開されていました。しかし日本のマーケットを見た時、アメリカと日本ではAIの認知度や浸透率に大きな違いがあります。

 ブランドの共通メッセージを同じ深さで伝えるためには、市場に合ったコミュニケーションが必要です。テクノロジーの難しさを取り除き、壮大なミッションを分かりやすく伝えるにはどうすべきか。そこで目を付けたのが漫画『キャプテン翼』です。

 『キャプテン翼』では、現実離れした素晴らしいプレイが描かれます。あの圧倒的なスピード感や壮大な世界観をテクノロジーで実現できたらどうなるか──生活者に馴染みのあるサッカー漫画という媒体を通すことで、高度なテクノロジーに対する「わかりづらさ」や苦手意識を取り払うことができると考えました。スポーツは年齢に関係なく誰もが熱狂できる場です。時に信じられないドラマが起こるのがスポーツであり、それをイメージさせる『キャプテン翼』を通して、「私たちがテクノロジーパートナーとしてFIFAを支えている」というメッセージを、見た方がスムーズに理解できることが狙いでした。

 国内独自のキャンペーンのスローガンは、グローバルの意図を残しつつ日本市場向けに咀嚼した「技術がゲームを変える。」としました。さらに、サッカー好きとして知られるアーティスト・俳優のGAN (岩田剛典)氏に書き下ろし楽曲をCMソングとして提供いただきました。

「技術がゲームを変える。」キャンペーンのキービジュアル(出典:プレスリリース)
「技術がゲームを変える。」キャンペーンのキービジュアル(出典:プレスリリース)

ルービン:具体施策としては、渋谷の大型OOH(屋外広告)で、猛スピードのキックシーンをデジタルで可視化。広告を見た方にそのすごさを体感いただきました。また、試合のパブリックビューイングを開催し、GAN氏や元サッカー日本代表の遠藤保仁氏、司会のサッシャ氏など有識者をお招きし、親和性の高いプロの方々に第3者目線でレノボの技術を解説していただきました。

MZ:パブリックビューイングの反響はいかがでしたか?

ルービン:定員300名のところに4,200名以上のご応募をいただき、日本のファンの皆様の熱量に驚かされました。一般層の方々をターゲットにした施策でしたが、結果としてレノボの認知度が7.6ポイント向上し、ブランド測定におけるイノベーションスコアも4ポイント上昇しました。

 さらに来場者の97%が高い満足度を示し、サッカーファンのためのテクノロジーが興奮度を高めることを実感いただけたと思います。また、GAN氏も当日は客席で一緒に応援してくださり、参加者によるSNSでの拡散力も非常に大きい結果となりました。

MZ:複数のグローバル企業でキャリアを積まれてきたルービンさんは、ローカル戦略についてどのようなお考えを持っているのでしょうか。

ルービン:グローバル企業のマーケティングでは「グローバルイニシアチブ/ローカルエグゼキューション」とよく言われますが、単にグローバルのコンセプトを翻訳するだけではなく、文化的にもメッセージ的にも市場に合った形で噛み砕くことが重要です。人間の感情の根幹は地域問わず同じでも、表現方法は文化によって異なります。マーケターはお客様をブランドとつなげる「アンバサダー」として、よりお客様に寄り添った形の表現を実現していくべきだと考えています。

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ローカルの熱狂が世界へ波及する?グローバルと日本をつなぐマーケティングの醍醐味

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この記事の著者

吉永 翠(編集部)(ヨシナガ ミドリ)

大学院卒業後、新卒で翔泳社に入社しMarkeZine編集部に所属。学生時代はスポーツマーケティングの研究をしていました。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/09/30 08:30 https://markezine.jp/article/detail/77658

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