一過性で終わらないオリジナルIPの力
──既存作品とコラボしたり、プレイスメントで商品をさりげなく出すといった取り組みもできたと思います。なぜ、わざわざオリジナルIPを作ったのでしょうか?
成瀬:既存IPとのコラボレーションには、短期間で大きな注目を集められる強みがあります。しかし今回重視したのは一過性の話題化ではなく、「U.F.O.」の未来のユーザーとの関係を長期的に育てていくということでした。「U.F.O.」のオリジナルIPであれば、「U.F.O.」の世界観や価値観を起点に、漫画、付録などを通して一貫した文脈で展開することができます。
小学生は将来的にブランドのコアユーザーになっていく世代ですが、商品広告を一方的に見せるだけでは、「U.F.O.」に愛着を持ってもらうのは難しいと考えています。子どもたちが自分から読みたくなって、繰り返し触れることができ、友達や家族に話したくなるような“物語体験”が必要です。そこで、長期的に続けられる取り組みとして、「U.F.O.」の漫画を作って連載する企画を考えました。
「U.F.O.」が、子どもたちにとって「気になる存在」「食べてみたい存在」と思ってもらえることを目指しています。言い換えると、「こい丸」は「U.F.O.」を子どもたちに“知ってもらう”ための広告ではなく、子どもたちが自分から「U.F.O.」を“好きになるきっかけを作る”ためのIPです。
──媒体として、「コロコロ」を選んだ理由はなんですか?
成瀬:幅広い媒体を検討した中で、メイン読者である小学生の男子に対して、漫画だけでなく付録など、複数の接点を通じて読者との関係を構築できる「コロコロ」が最適なパートナーだと考えました。
──限られた媒体だけでの展開について、指摘はありませんでしたか?
三浦:確かに、マス広告を打つよりもアプローチできる数は限られます。しかし、まずは第1フェーズとして「コロコロ」で露出し、「こい丸」という存在を確実に小学生に届けてファンになってもらうことを重視しました。そして今年10月からは第2フェーズのチャレンジとして、商品パッケージの中フタに印刷された2次元コードを読み込むと「こい丸」の新作オリジナル漫画が読める、「日清焼そばプチU.F.O.」を発売しました。これを入り口に、今後は「コロコロ」のSNSも活用しながらより多くの方に「こい丸」を知ってもらい、「U.F.O.」のファンになっていただきたいと考えています。
あえて「設定を作らない」、漫画家への信頼
──「こい丸」の誕生までに、「コロコロ」編集部とどのような議論をしたのでしょうか?
成瀬:まず弊社から「コロコロ」の編集部様へ、「未来のユーザーであるα世代との接点を作るため、長期的に続けられる施策として『U.F.O.』を使った漫画をつくりたい」とご相談しました。「U.F.O.らしいエクストリームな世界観」を子どもたちが楽しめる漫画としてどう表現するかを議論し、漫画家の方へのコンペを行っていただきました。その中で最も世界観を表現できており、かつ小学生に愛される可能性を感じたキャラクターが“こい丸”でした。
──企画の趣旨を理解した漫画家の方が、「こい丸」を生み出したのですね。てっきり日清食品側が用意したキャラクターだと思っていました。
成瀬:広告ではなくコンテンツを作るので、基本的にキャラクターやストーリー、設定作りは作品づくりのプロである編集部・漫画家の方にお任せしています。弊社側で確認しているのは「U.F.O.への信頼を損なう表現をしないこと」と、「U.F.O.がおいしそうに見えて、食べてみたくなること」の2点だけです。第1話でストレート麺や“ぶっ濃い濃厚ソース”の描き方についてポイントをお伝えして以降は、商品の描写も含めて大きな修正をお願いしたことはほとんどありません。
──読者にとっては、「こい丸」の印象がそのまま「U.F.O.」のブランドイメージにつながると思います。それでも、設定面も任せているのですか?
成瀬:当初は、こちらでキャラクターをしっかり作り込むべきだと考えていたのですが、編集部から「ギャグ漫画としてのおもしろさを重視したいので、あまり設定を作り込みたくない」と意見をいただきました。そこで、「こい丸がU.F.O.を食べるとスーパーこい丸になり、トラブルをパワー系のゴリ押し手法でエクストリームに解決する」ということだけを決めて、あとはお任せしています。
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