SEOの延長ではない。AI検索が起こす「認知革命」
AI検索は、もはや「検索」という言葉だけでは捉えきれない。
従来型の検索は、人間の情報探索を効率化するものだった。一方、AI検索は情報を探すだけでなく、要約、比較、意思決定の支援まで行う。つまり、「情報を探す」という検索の範囲を超えて、人間が担ってきた「認知活動の外部化」が起きていると言える。
実際にSimilarwebが公開した調査データでは、もともと購買インテントを持っていなかったユーザーのうち、チャットでの会話を進めるなかで46%が購買シグナルを示したという結果が報告されている。
「生成AIによって購買意向そのものが生まれるのであれば、Googleが提唱するZMOT(消費者が購入前にインターネットで情報を調べ、意思決定する瞬間)よりも前の段階で、AIが動機生成に関与していることになります。そう考えると、AI検索の登場は検索革命ではなく、認知革命と言えます」(天野氏)
マーケティングは「見られる競争」から「語られる競争」へ
AI検索によって検索のあり方が変われば、当然、求められるマーケティング活動も変化する。
従来の検索では、企業が自ら情報を発信し、検索結果の上位に表示されることでユーザーに届けることがブランド理解の中心だった。しかしAI検索では、企業が発信する情報だけでなく、第三者が発信する情報も含めた情報環境全体からAIがその企業のブランドを理解し、推薦するようになった。
一方で、最適化すべき対象は一貫してユーザーであり、ユーザー理解がすべての起点であることは変わらない。これはマーケティングの本質でもある。
「本質は変わりませんが、構造は転換しています。ブランドはもともと企業が一方的に届けるものではなく、第三者によっても意味づけられてきました。AI検索によって、その第三者の『語り』がブランド理解に与える影響がさらに大きくなっています。広告は『見られる競争』から『語られる競争』に変わってきました。企業は世の中から『どのように理解されているか』まで設計・マネジメントする必要があるのです」(天野氏)
見られる競争から語られる競争へシフトすると、競争ルールも変わってくる。見られる競争では、多くの人に共通する「最大公約数」が重要だった。企業はより多くの人に届くメッセージを発信し、広告でアテンションを獲得したり、検索結果の上位に表示されたりすることで、ユーザーに見つけてもらうことを競ってきた。
しかし語られる競争では、ユーザーは状況や文脈に応じた「個別解」を求めるようになる。その根拠となる情報は、企業自身が発信する情報だけではなく、第三者による多様な語りだ。そのため、「どれだけ見られるか」だけでなく、「誰に、どのような文脈で語られるか」を考えることが求められる。
見られる競争では、購入者や関心層と似た属性の人を購入確率が高いと捉え、ターゲティングする『オーディエンス拡張』が行われてきた。相関と確率によって効率的にリーチを広げられる一方で、「なぜその人が選ぶのか」という文脈まで理解しているとは限らない。一方で語られる競争で重要になるのは、そのブランドが意味を持つ「文脈」や「体験」、「推奨される理由」を増やし、多様な個別解につながる語りを生み出していくことだ。
「私はこれを『ナラティブ拡張』と呼んでいます。企業は、信頼と共感のネットワークを広げてブランド理解を形成し、語りたくなる体験を設計して、第三者による多様な語りを増やし、ブランドが理解される文脈そのものを広げていくのです」(天野氏)
この「ナラティブマーケティング」を実現する手段の1つとして、天野氏が改めてその価値を指摘するのが、アフィリエイト広告だ。

