GO:「一言で言うと?」への答えがバラバラだった
富家:「GO BUSINESS」は、タクシーアプリ「GO」の法人向けサービスですね。中西さんが法人事業に参画された当時、どんな状態だったんですか?
中西:事業は伸びていたものの、このままだと少し先で成長が鈍化する兆しが見えていました。市場の余地はまだあるのに、です。

中西:というのも「自社のサービスは一言で言うと何ですか?」という問いへの答えが、バラバラだったんです。機能が増えると、いろいろ言いたくなってしまうものです。「経費精算ができる」「ガバナンスを強化できる」「利用管理ができる」──。
すると広告とLPのメッセージが合わない。問い合わせたお客様の認識もバラバラで、インサイドセールスの難易度が上がり、営業も苦労する。だから、まずはサービスを一言で言い表せないとだめだ。そして、むしろそこだけやれば伸びると考えました。
富家:どのようにして、そのポイントに気づいたのでしょうか。
中西:日々のCPAなどの数字の変化や顧客へのヒアリングもしていましたが、採用面接で求職者に「うちのサービスは何だと思いますか?」と聞いてみたところ、調べてきている人たちでも、言うことがバラバラだったんです。外から見たときの印象もそろっていないということですから、ここに改善できるポイントがあるなと感じました。
村田製作所:自動化しすぎた失敗から「相手が動ける余白」へ
富家:では、壁をどう越えたのか。岡部さんは、一番のボトルネックだった海外部門にアプローチされたんですよね。
岡部:はい。海外部門の方に本音を聞くと、「画一的に英語で情報を発信するだけではなく現地の母国語が重要だ」という言葉が出てきました。そこでAI翻訳の基盤を導入して多言語化を進めたところ、セッション数も伸びました。ただ、数字は伸びたものの、社内の巻き込みという意味では失敗エピソードなんです。
岡部:負荷をかけないようにと、翻訳からLP公開まですべてマーケティング側で自動化して成果を発表したところ、海外部門の方の表情が曇ってしまいました。「それはいいんだけど、僕たちにできることは?」と。せっかく、施策を進めることに納得してもらっていたのに、相手が参加する隙をなくしてしまったんですね。
富家:AIによって進めやすくなった側面もありますが、効率化をトップダウンで進めると、現場の感情的な反発が起きて導入が進まないという話もよく聞きます。
岡部:そこで、一方的に進めるのではなく、どんな情報を出すかを海外部門と改めて整理し、コンテンツがAIにどう引用されているかをこまめに共有する場をつくりました。余白をつくることで、海外部門の方も参加してくれて、いま同じような熱量でお互いに取り組むことができています。
富家:先ほどおっしゃった「翻訳」にもつながりそうですね。情報共有の際の伝え方にも工夫があるのでしょうか。
岡部:結果の数字だけではなく、「検索されるワードがこう変わっている」「こういう情報を出せないか」と、変化と提案を伝えるようにしました。すると、Webに関心のなかった技術部門からも「一緒にやらせてもらえますか」と声が上がるようになりました。
富家:「変化を伝える」というキーワードが気になります。その狙いは?
岡部:われわれのビジネスは、設計段階で部品を採用いただいてから量産の依頼に至るまで、数年かかる世界です。だからこそ、一気に成果が出るわけではないので、こういうシグナルが出ていますよ、とストーリーで伝えることが継続のために重要なんです。
また、私個人は入社当時は「専門家」と思われたかった部分があり、「成果」を伝えることを優先してしまっていたような気がします。それでは人が動かないこともわかり、「この人の言うことならできそうだ」と思ってもらうことを重視するように変わってきましたね。
富家:時間軸の長い事業貢献という遅行指標だけではなく、行動と変化を先行指標として伝えながら、関係者を少しずつ増やしていく。まさに社内の巻き込みですね。
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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)
デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。
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