AI時代も変わらない「ブランドの軸」とは
続く2つ目のテーマとして提示されたのが、「AI時代においても変わらないブランドビジョンと現場施策への展開」である。
AIによりプロダクトの機能開発のスピードが上がり、模倣も容易になった。自社が新たな機能をリリースしても数ヵ月で競合他社にキャッチアップされてしまうため、機能面の差別化が難しいコモディティ化時代を迎えている。こうした環境下で重要性を増すのが、容易には模倣できない「非機能資産」の存在だ。
創業から47年の歴史を持つ弥生は、長年培ってきた実績と、全国の会計事務所との強固なパートナーネットワーク、そして最大692席を擁するカスタマーサポート体制を自社の絶対的な強みと位置づけた。実際にユーザーアンケートを実施したところ、「有人サポート」を希望する声が6割近くを占めており、AIだけでは代替できない「人の対応による安心感」が契約継続や高い顧客満足度を支えていることが判明した。
「AIには代替できない、感情調整の領域はまだまだ必要とされている」という西村氏の言葉どおり、業務の効率化や自動化自体はAIで高度化させつつも、トラブル時や専門的な業務相談においては人間が丁寧に寄り添う。このように機能追従の競争から抜け出し、「会計」という間違いの許されない領域を支え続けてきた歴史や、対話を通じた安心感といった自社固有の強みを顧客接点全体で訴求し続けることこそが、AI時代においても選ばれ続ける理由になると語った。
絶えず進化すること自体がブランド価値に
これに対し、市場への新規参入におけるブランド構築では、異なるアプローチを展開しなければならない。
シリコンバレー発のAIエージェントプラットフォームを提供し、2026年1月に日本市場へ本格参入したGensparkは、設立からわずか数年でグローバル7,000社、日本国内でも2,500社以上の導入実績を持つ。同社でPR & Event Managerを務める延氏は、「絶えず進化し続けるプロダクトそのものが、我々にとってのブランド価値」と語った。
歴史の長さを武器にできない新規参入の企業にとって、「1つの機能を長い時間をかけて訴求し続ける」ブランディングは通用しない。
そのため、Gensparkでは新しいAI技術が登場した瞬間から一気に製品へ実装し、誰でも使えるUI/UXへと落とし込むサイクルを高速で回し続けている。それにより、ユーザー側に「Gensparkさえ使っていれば常に最先端のAI技術の恩恵を受けられる」という信頼感を醸成し、これをブランドの核としているのだ。
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高橋 愛里(編集部)(タカハシ アイリ)
新卒で総合情報サービス企業に入社し、求人広告の制作に携わる。2023年翔泳社入社。SalesZine編集部に所属。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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