テックの発展にともない“つながり”を求める人々
ここからは、ボドナー氏への個別インタビューをお届けします。
──昨年の「INBOUND 2025」でループマーケティングを発表されてから1年が経ちました。この1年で、企業のマーケティング手法や買い手の行動には変化があったでしょうし、テクノロジーも進化しているはずです。ボドナーさんの視点から、この1年間に何が起きたか、最新状況についてお聞かせいただけますか?
変化した点はいくつかあると思います。第一に、大規模言語モデルがはるかに高度で賢くなり、マーケターがそれらを新しい方法で活用できるようになったことです。しかしそれと同時に、買い手が評価のためにそれらを利用するケースも増えています。
第二に、モデルの性能が向上し普及が進んだことで、人々はこれらを活用して非常に多くのコンテンツを生成するようになり、AI生成コンテンツが氾濫しています。マーケターにとっては、膨大なコンテンツやノイズの中から自社メッセージを際立たせることがますます困難になっています。
第三に、こうしたテクノロジーの発展が、逆に“人間的なつながり”を求める動きをますます強めているということです。人々は「UNBOUND 2026」のようなイベントでより人間的なつながりを求めているだけでなく、信頼できるクリエイターやインフルエンサー、つまりChatGPTや類似の製品からは得られない、楽しく興味深いつながりや学びを探しているのです。
米国企業も直面するCPA高騰
──日本のBtoBマーケティングの現場では「ゼロクリック問題」と「CPA高騰」などがマーケターの悩みとして取り沙汰されていますが、米国ではいかがですか?
それらは米国や世界的に見られる傾向だと思います。そして、この2つの傾向は密接に関連しています。AI検索エンジンやAIによる要約を利用する人が増えるにつれ、企業のWebサイトへのクリック数が減少しているからです。その結果、企業は失われたクリック分を補うために広告費を増やそうとしており、それが競争を激化させ、広告単価の上昇を招いています。
──米国企業のマーケターたちは、どのような対策を取っているのでしょうか。
新たな一連の戦術が台頭しています。その中核となるのが、AI検索での露出や言及の質を向上させるためのAEO(回答エンジン最適化)を行うことです。これは特定の国に限った話ではなく、どの国の企業も推進していることだと思います。
具体的には、YouTubeやTikTok、Instagramといった動画中心のプラットフォームで、エンゲージメントの高いクリエイターと提携し、自社の認知度向上やリード獲得を促進することです。加えて、広告の運用をより賢く行うことも必要かもしれません。なぜなら、広告は短期的には重要なツールとなるからです。
