新サービスの第1弾は3月5日18時から提供開始!
「ニコニコ動画」の新バージョン「ニコニコ動画(SP1)」の発表会は、いきなり吉本のお笑いコンビ、ロシアンモンキーが登場して始まった。会場を強引に盛り上げることに失敗した2人に代わって、ドワンゴ・ニコニコ事業本部事業推進部部長の杉本誠司氏、ニワンゴ取締役の西村博之氏、ドワンゴ代表取締役の小林宏氏が登場。ニコニコ動画の現状と新サービスについて説明を行った。
「ニコニコ動画(SP1)」ではトップページを一新したほか、初心者向けにニコニコ動画の使い方が学べるチュートリアルを用意したり、マイページのプロフィール機能を強化している。外部向けのサービスとして、コメント付きの動画再生がlivedoor、So-net、はてな、truncの4つのサービスでアカウントなしでも視聴可能となった。外部のブログやSNSへの機能提供は今後も対応サービスを増やしていく予定だという。このほか、かんたんに動画を作成してアップロードできる「ニコニコムービーメーカー」の無償提供も発表。これらは新サービスのリリース第1弾として、3月5日18時から提供を開始する。
「ニコニコ動画」だけの機能がもりだくさん
また、西村氏が「ほかの動画サービスにない機能として期待している」という「ニコスクリプト」も新機能を発表。再生画面にクリック可能なボタンを追加したり、コメントの流れない領域の設定、投票結果やゲームのスコアの集計機能が加わった。また、別の動画にジャンプしたあとの動作や同じ動画内の指定時間にジャンプすることも可能。リリース第2弾となるニコスクリプトの新機能は3月13日から提供開始する。
また、現在1000人規模で行っている「ニコニコ生放送」が好評なことから、仮想チケットの発行やさらに規模を拡大したサービスも検討しており、年内には1万人規模のネット最大のイベントスペースを実現する予定だという。今回の発表会の様子も生放送されており、プロジェクターに映し出されたニコニコ生放送の画面を見た会場からはどよめきと笑いが起きた。
4月には、さらに「ニコニコニュース」のフォーマットをつかって誰でもニュース動画がつくれる「ニコニコニュースメーカー」、ニコニコ動画についてのさまざまな情報を集めた「ニコニコ大百科」の提供も予定している。
西村氏は新機能の紹介の冒頭で「ニコニコ動画はあさっての方向へ進化する」と発言。H.264対応など高画質の追求やユーザーへの利益還元など、進化し続ける競合サービスのなかで、つねにおもしろさを追求する姿勢を示した。しかし、後の質疑応答でニコニコ動画のH.264対応をいったん否定したものの、実は3月5日から対応を開始すると発言を撤回する一幕も。旅行から帰ってきたばかりという西村氏も、ニコニコ動画の進化の早さに追いついていないようだ。
黒字化よりも大事なことがある!
注目のニコニコ動画の黒字化については、現状では単月黒字化は実現できていないことが明らかになった。3月3日時点のニコニコ動画の登録会員数は560万人、ニコニコ動画モバイルの会員数は119万人。しかし、2月末時点のニコニコ動画の有料会員数は18万9,000人、有料会員が10月から12月にかけてペースダウンしているという。
広告販売実績は3,200万円、ニコニコ市場関連実績は2億8,600万円に達しており、広告とアフィリエイトは順調だが、有料会員の増加にも重要な課題。小林氏は、「一度プレミアムに入ってやめた人はきわめて少ない」と語る。今後は有料のプレミアム会員に対して、ストレスなく動画が見られるだけでなく、さらに一般会員との差別化も進めていくことになりそうだ。
こうした現状について、小林氏は「できるだけ多くの人に利用してもらうための環境づくりを第一にしている。単月黒字化は考えてないとは言わないが、一番に考える時期ではない」と発言。また、増え続けるユーザーにサービスを提供するためには、優秀な技術者が大量に必要だとして「技術者補完計画」を発表。我こそはという技術者はぜひとアピールを行っている。
「ニコニコ大丈夫?」「いつ黒字化するんだ」といわれ続けているニコニコ動画だが、「黒字化より大事なものがある!」という小林氏の言葉はいつにもまして力強かった。また、西村氏も「著作権法に違反している動画は一掃したいと思っている。それを前提に、ネットで話題になっているニコニコポイントなどのクリエイターに利益を還元するしくみも実現できる」として、現在のニコニコ動画に満足していないこと、さらに新しい動画サービスのあり方を模索していることをうかがわせた。
はやくも次のバージョン「ニコニコ動画(夏)」の発表会を2000人規模で行う計画も発表され、ユーザーがニコニコ動画に振り回される日々はまだ続きそうだ。
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