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世界を変えるビジネスを生み出す「イノベーション教育」とは?

「日本の大企業の中で、どうイノベーションを起こすか」東大i.schoolのミッション


アイディア発想とプロセス・デザイン、両方できる人材を育てたい

 東京大学i.schoolの責任者は、エグゼクティブ・ディレクターの堀井秀之教授。そして、現場のかなりの部分を実際に仕切っているのが、ディレクターである横田幸信さんです。横田さんは九州大学のアントレプレナーシップ・プログラムの第一期生で、いったん野村総合研究所に勤めた後、大学院博士課程は東大へ。博士課程時代にi.schoolと出会い、博士課程中退後、現在ディレクターとして活躍されています。

インタビューにご協力いただいたディレクターの横田幸信さん

佐藤:大学や大学院で、イノベーション教育をする意味合いって、どの辺にあるんでしょうか?企業の研究開発部門みたいなところでやれば良いのでは?という意見もあると思うのですが。

横田:今のところ企業には、イノベーションを生み出すための組織が無いケースが多い状況にあります。もし新しく組織ができても、プロセスがありません。だから、学生のうちにイノベーションのプロセスを学ばないと、企業に入ってからイノベーションを生み出すことができなくなってしまいます。だからこそ、大学や大学院でのイノベーション教育には大きな意味があると思います。

佐藤:なるほど。「既存の企業にプロセスがない」というところをもう少し説明していただけますか?

横田:企業には必ず通常業務があるので、イノベーション業務をするのが難しいのです。例えば、テレビのメーカーがいま研究開発をすると、テレビをいかに高精細にするか、ということをやります。10Kを目指すとか。通常業務の中での進歩を目指しがちなんですね。でも、それはイノベーションではありません。簡単に壁に掛けられる、とか、くるくる丸められるとか、“テレビと人の暮らしが変わる”ものじゃないとイノベーションとは呼べないと思うのです。

横田:いま現場でプロセスが存在しないイノベーション開発を、海外の事例も含めて整理して学ぶことができるようになっています。企業に入ってしまうと学べないことを学べるので、意味があるでしょう。

佐藤:なるほど。i.schoolの特徴、他のイノベーション系の学校と比べても違うところはあるのでしょうか。

横田:i.schoolでは、2つの点を目指しています。一つは、クリエイティブな人間、アイディア発想ができる人間になることです。そして二つ目は、プロセスをデザインできる人間になること。課題に対してどういったプロセスを踏めばいいか、ということ自体をデザインできる人材ですね。一つ目はスタンフォードのd.schoolなんかでもやってますが、二つ目は、世界的に見てもあまり行われてないのでは。ここがi.schoolの特徴です。

佐藤:二つ目の「プロセスをデザインできる」について、もう少し詳しく教えてください。

横田:例えば、企業の中で、半年後に新しいロボットのアイディアを持って来い!と社長に言われたとしますね。そうしたら、チーム組成も含めて、半年の間に何をしたらいいのか?をデザインできる人、という意味です。これには、“新しいロボットのアイディア自体”を発想することとは、別のスキルや能力が必要になります。

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日本の大企業の中で、どうイノベーションを起こすか

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この記事の著者

佐藤 達郎(サトウ タツロウ)

多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論/メディア論)。2004年カンヌ国際広告祭フィルム部門日本代表審査員。浦和高校→一橋大学→ADK→(青学MBA)→博報堂DYMP→2011年4月 より現職。
受賞歴は、カンヌ国際広告祭、アドフェスト、東京インタラクティブアドアワード、ACC賞など。審査員としても、多数参加。個人事務所コミュニケーション・ラボにて、執筆・講演・研修・企画・コンサルなども。また、小田急エージェンシーの外部アドバイザー、古河電池の社外取...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2014/08/25 09:37 https://markezine.jp/article/detail/20560

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