SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2026 Autumn

マーケティング最新事例 2026

エスエス製薬はなぜ「ED」と「女性のキャリア」に踏み込むのか?マーケ本部長→社長 元島陽子氏が語る

すべての生活者にセルフケアを。エスエス製薬のコミットメント

──改めて、エスエス製薬とはどんな会社なのか、教えてください。

 私たちエスエス製薬は、1765年、江戸時代にまで遡る会社です。当時、まだ一部の人のものであった健康を、「すべての人が与えられるべき」という思いから、1人の男性が始めた小さな薬屋、それが私たちの原点です。

画像を説明するテキストなくても可

 エスエス製薬は今、大きな転換期にあります。2017年からフランスを拠点とするサノフィの一事業部でしたが、2025年4月に正式に独立。100以上の国と地域で展開するOpella(オペラ)グループの傘下で新たな章を歩み始めました。

 私たちの企業理念は「Health. In your hands.(あなたの健康を、あなたの手の中に)」。病院の診察では、「1日3回、2個ずつ薬を飲んで」と指示をされますが、そこには生活者の選択肢や決定権がありません。すべての生活者が自身の健康に興味を持ち、理解し、そして治療薬に手が届く、そういう社会を作っていきたい。これが私たちのコーポレートミッションです。

──エスエス製薬が、市場でどう戦っていくのか。その根本にある考え方から伺えますか?

 コミットメントは大きく2つあります。1つは、年齢や性別を問わず、多くの人が抱える、困りごとや悩みに対し、「セルフケア」という選択肢を提示することです。それも現時点だけではなく、5年から10年先を見ています。どこで多くの人が悩みを抱えるのか、日常の中でケアできることは何かを見据えて、領域をかなりアグレッシブに見ています。

 もう1つは、社会への意識改革です。これは、我々メーカーの責務だと思っています。物を用意してどう売るかという話ではなく、行動を変える、意識を変えるということです。

壁を取り払わなければ、本質的に誰も救えない

──BeliEVE PROJECTのように、人事制度まで変えるレベルで踏み込むと、コストもリスクも大きくなります。それでもやる理由は何でしょうか。

 すべてのブランドで行っているわけではありません。ただ、困っているのに行動を起こせない「壁」がある場合は、それを取り払わない限り、本質的に誰かを救うことにはなりません。

 そもそも、日本は薬に頼らない文化です。熱だろうが痛みだろうがアレルギーだろうがEDだろうが、我慢する。薬は最終手段であり、体調が限界に達して初めて使うもの、という意識が根強く、他国と比べてセルフケアへの意識が低いのです。鎮痛剤も、5人に1人しか使っていません。

 そういう業界だからこそ、世論や知識を変え、わかってもらう・興味を持ってもらうところから始めるしかありません。この「壁」が、文化として根付いているものだからです。そこにアクションを取らなければ、すべてが表面的になってしまう。事業としての発展性も見込めません。

──こういった取り組みが、市場を作る。この因果はどこから来ているのでしょうか。

 生活者が自分の健康を意識し始めると、行動が変わる。行動が変われば、学ぼう、比較しようという気持ちが初めて生まれる。そこに情報が届くようになる。それをやっていかないと、10年先には本当に危機になると思っています。

──「危機」というのは?

 高齢化と少子化が進み、地域格差も広がる。今は病院で治療を受けられても、将来、医療サービスが十分に受けられなくなる可能性もあります。だからこそ、その前に日常的な「ケア」を当たり前にしておく。1年では変わらない、何年もかけて理解を得ていく取り組みです。事業展開の意味でも、短いスパンで新製品が出せる領域ではないので、未来を見据えないといけません。

次のページ
イメージ向上ではない。マーケティングの本質的な力

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
マーケティング最新事例 2026連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

竹上 久恵(編集部)(タケガミ ヒサエ)

早稲田大学文化構想学部を卒業後、シニア女性向けに出版・通信販売を行う事業会社に入社。雑誌とWebコンテンツの企画と編集を経験。2024年翔泳社に入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2026/07/27 08:00 https://markezine.jp/article/detail/50605

Special Contents

PR

Job Board

PR

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング