【データ設計の妙】マーケターがSQLを叩き、即座に動く体制
──多角的なデータをリアルタイムに施策へ反映させるための、データ設計のこだわりを伺えますか。
坂本:弊社はサツドラグループ内でPOSシステムを独自開発しており、購買データや位置情報、さらにはアプリ内の歩数データやチェックインデータなどが、一気通貫で流れるデータ基盤を構築しています。具体的には、Google CloudのBigQuery内に「マーケティング専用のプロジェクト」を設けており、現場のマーケターが必要最低限の権限に絞られた状態で、自らデータを抽出できるようになっています。
何か施策を思い立ったら、マーケター自身が都度SQLを書き、必要なターゲットのセグメントデータを自ら作って、そのままBrazeにデータを連携してアクションに落とし込んでいます。多くの企業では、ちょっとしたデータ抽出でもIT部門に依頼し、調整や社内申請に時間がかかってしまうことも多いと思います。それではマーケターがせっかく良いアイデアを思いついても、実行に移すのが面倒になって、結局埋もれてしまいますよね。

──「思い立ったらすぐに動かせる」基盤があるわけですね。
坂本:その通りです。緻密にガチガチの設計をして会社へ申請を上げるよりも、現場の仮説をすぐにアクションに落とし込み、失敗と成功を高速で検証していく方がはるかに重要です。
たとえば、「3ヶ月店舗に来ていない離反リスクの高い顧客」を呼び戻す施策を打つ際も、条件を細かく決めすぎて時間をかけるより、まずは対象者をSQLでパッと抽出してBrazeで割引クーポンを当ててみる。そしてCPAがどう変化したかを検証し、都度SQLで金額レンジを調整していく。この圧倒的な機動力こそが、データ運用のこだわりです。
ClaudeのMCP活用で分析の効率化に成功
──AI(Claude)をMCP(Model Context Protocol)経由でBrazeに繋ぎ、キャンペーンの直接操作や分析を行っていると伺いました。そのきっかけについて教えてください。
坂本:これはBrazeの担当者の方から、マンスリーの定期レビュー会で「ClaudeにMCPサーバーを繋いで、Brazeのデータを直接操作・分析できるようにする仕組みがある」と教えてもらったのがきっかけです。
その話を聞いて、すぐにテストを行ってチームに共有しました(笑)。
──AIを連携したことでどのようなメリットが生まれていますか。
坂本:データ分析というのは、それなりに時間と労力がかかる上に、泥臭くて面倒な作業が多いのが現実です。これまではマーケターのマンパワーの制約で分析しきれなかった詳細なデータも、たとえばClaudeに「キャンペーンの内容の詳細なデータ分析をグラフでわかりやすく表示して」とプロンプトを投げるだけで、一瞬ですべてのデータがダッシュボード形式で出力されるようになりました。
日別のパフォーマンスや、くじ結果の分布、売上構成比といった高度なバリアント分析が一瞬でビジュアル化されます。人間が手作業で集計してレビュー資料を作るよりも圧倒的に早く、正確です。データの集計からレポート作成、それに基づく次なる意思決定までが瞬時に完結します。
──高度なデータ連携を実現するにあたって、マーケティング部門とIT・データ部門の連携はどのようになっていますか。
坂本:基本的なデータ基盤の連携やアップデートは定期的にIT側に行ってもらいますが、通常のマーケティング業務におけるデータ抽出や分析、施策の実行は、すべてマーケティング部門の内部でインハウス化しています。
外注に頼ってしまうと、見積もりや調整でどうしてもスピードが鈍ってしまいますが、インハウスでAIとBrazeを使いこなすことで、現場完結の高速なPDCAが実現しています。

