売り場で想起してもらうことを目指して
──具体的な運用方法を教えてください。
中村:日常の投稿に加え、週に3回、UGC対応としてお客様からのコメントにもできるだけ返信するようにしています。双方のコミュニケーションを通じて、お客様がどの商品や話題に興味を持っているのかを把握し、今後の発信にも活かしています。
──日常の投稿はどのような内容ですか。
中村:季節ごとの暮らしの悩みや、生活に役立つ豆知識が中心です。衣替えの時季、ダニが気になる時季など、暮らしの中で関心が高まるタイミングに合わせて出しています。
丸野:日用品の購入の判断は売り場で起きることが多いので、店頭で「そういえばXで見たな」と思い出して手に取ってもらえる状態を作ることが、地道ですが重要だと考えています。
──キャンペーンについてはどう設計していますか。
丸野:キャンペーンを実施すると一時的にフォロワーは増えますが、キャンペーンの参加を目的にフォローした方は、その後にフォローを外される方も少なくありません。そのため、フォロワー数の獲得自体を目的にしたキャンペーンは実施しない方針です。実施する場合は、何かしらの付加価値をつけて、喜んでもらえる内容にすることを意識しています。
「中の人」を、どう継ぐか
──個人のキャラクターに依存しやすい「中の人」アカウントは、担当者が変わる際に資産をどう継承するかが課題になります。エステーでは、その運用をどう引き継いできたのでしょうか。
丸野:今まで築いてきたアカウントの個性や、お客様とのつながりは、エステーにとって大切な財産だと考えています。だからこそ、担当者が変わるたびにゼロから作り直すのではなく、それまで積み重ねてきたやり取りや空気感を次の担当者へ丁寧に引き継いできました。アカウントの形は少しずつ変化しても、長く応援してくださっている方々との関係性は、変わらず大切にしています。
中村:運用が特定の担当者個人に依存する形にはしたくないという思いがありました。だからこそ、誰が担当しても同じ判断ができる「仕組み」を作ることにしました。運用にあたってはペルソナをかなり細かく設定していて、「中の人」の人格も、エステーを人にたとえたらどんな言葉遣いをするか、どんな反応をするかというレベルまで決めています。
──その人格はどのように決めたのですか。
中村:ベースになっているのは、2024年に制定したパーパス「こころに響くアイデアで、ふとした瞬間を、ふふっと笑顔に。」です。広報・宣伝チーム内でパーパスに関するワークショップを行った際の社員が持つ会社への思いを言語化した資料があったので、それをアカウントの人格に落とし込みました。
大事にしているのは、パーパスの「ふふっと笑顔」という部分です。声を出して大きく笑っていただくのではなく、少しだけ気持ちが「ふふっと」柔らかくなるような笑顔。この基準が、言葉選びや画像選びの判断軸になります。個人のセンスではなく、この基準が判断のよりどころになっており、その結果としてパーパスを体現するようなXアカウントにしたいと常日頃から意識しています。
丸野:加えて、当社の主なお客様は主婦層が中心なので、お客様と同じ目線に立てるペルソナにしています。中の人個人の色は強く出さずとも、人となりが感じられることで親近感を持ってもらえるよう意識しています。
