アルゴリズムは何を評価すべきか
この議論は、企業のコンテンツ戦略にも示唆を与える。
もちろん、今回の制度は公共性の高いニュースメディアを対象としており、企業アカウントを優遇するものではない。しかし、「信頼性をアルゴリズム設計に組み込む」という考え方が広がれば、将来的に企業の情報発信にも影響が及ぶ可能性はある。
これまでSNSでは、「どれだけ再生されたか」「どれだけシェアされたか」「どれだけコメントが付いたか」といったエンゲージメント指標が重視されてきた。
しかし今後は、それに加えて「情報源として信頼できるか」「発信内容に根拠があるか」「継続的に専門性のある情報を発信しているか」といった要素も重要視される可能性がある。
現時点で主要プラットフォームがこうした評価指標を導入すると決めたわけではない。しかし英国で始まった議論は、「アルゴリズムは何を評価すべきなのか」という問いそのものを変え始めている。

日本企業に求められる3つの変化
もし「信頼性」がアルゴリズム設計の重要な要素になっていくのであれば、企業のSNS運用にも変化が求められる。
まず重要になるのは、一次情報を継続的に発信することだ。独自調査や現場の知見、自社でしか持たないデータなどは、生成AIにも模倣しにくい情報であり、企業の信頼性を支える重要な資産になる。
また、発信の透明性もこれまで以上に重要になるだろう。情報の出典を明確にすること、専門家による監修を受けること、誤りがあれば迅速に訂正することなどは、従来以上にブランド価値へ影響する可能性がある。
もう一つ忘れてはならないのが、プラットフォーム依存のリスクだ。アルゴリズムはプラットフォームによって決まり、そのルールは企業がコントロールできない。だからこそ、SNSだけに依存するのではなく、オウンドメディアやメールマガジン、コミュニティなど、自社で顧客とつながるチャネルを育てる重要性は今後さらに高まるだろう。
