SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2026 Autumn

「デリッシュキッチン」に学ぶ!売上を伸ばすSNSショート動画運用

中央値150万再生のショート動画運用を支える「インサイト×構造化」術。味の素「鍋キューブ」事例で解説

組織の共通言語に。クオリティ維持に関わる3つの指標

 たとえば「総視聴時間」。視聴者が動画を見続けるのは、冒頭数秒で「食べたい」「おもしろそう」と感じ、心地よさと関心が持続するからです。特に重要なのは「作りたい」と思えるかどうか。これは「材料の入手しやすさ(価格・旬など)」や「工程の手軽さ」といった現実的な条件に分解されます。「食べたい」かつ「作れそう」と感じて初めて、動画は最後まで視聴されます。

 「エンゲージメント」も同様です。いいね・コメント・保存・シェアは一括りにされがちですが、生活者側の動機はそれぞれまったく異なります。とりわけ保存は「作りたいレシピ」「見返したい情報(購入・体験の候補)」という明確な動機で発生する行動であり、前編で保存を「未来の買い物リスト」と表現した根拠はここにあります。購買に最も近いこの指標は、生活者の実用ニーズに応える情報設計によって初めて獲得できます。

 そして「トレンド性」。これは、生活者にとって馴染みがあり、無理なく受け取れる「伝え方」や、今多くの生活者の関心が向いている「題材」を選ぶことを指します。今支持されている音源や構成のリズムは、生活者が繰り返し触れるうちに馴染み、負荷なく受け取れる型として残ってきたものです。同様に、特定の食材や調理法が多く投稿されているのも、生活者の「今の関心」がそこに集まっている証です。この型や題材に沿うことで情報は届きやすくなりますが、それはあくまで届け方の工夫であり、レシピや企画自体の質の高さが前提となります。

 「デリッシュキッチン」では、こうした動機と情報の届け方を1つの設計図として構造化しています。総視聴時間・エンゲージメント・トレンド性という指標の末端には、数多くの検証から得られた「冒頭の何秒目に何を映すか」「どのカットをどの順で並べるか」といった秒・カット単位の表現パターンがひもづいています。この判断データは日々の投稿を通じて蓄積され、現在も更新され続けているのです。

インサイトが「質のあるリーチ」を生んだ――味の素「鍋キューブ」の実例

 ここからは、味の素株式会社の「鍋キューブ」とのタイアップ事例を元に解説します。

 同商品は「1個1人前」。一人鍋から大人数の鍋まで、作りたい量に合わせてキューブの数を調整するだけという商品設計が生活者のニーズを捉えた人気商品です。一方で、用途が鍋料理に限られがちなため、鍋シーズンをすぎると家庭内で使い切られず滞留してしまう課題がありました。そこで、鍋以外の使い方の認知拡大と調理実践の促進を目的に、「デリッシュキッチン」とのタイアップを実施しました。

 制作した2本の動画(唐揚げ・チャーハン)は、属人的な思いつきではなく、行動データから導いたインサイトと動機の構造化に基づいて企画しています。単に「鍋以外にも使える」と知ってもらうだけでなく、実際に作ってもらうためには、たまに作る特別な一皿ではなく、食卓への登場頻度が高い「定番料理」に商品を組み込む必要がありました。この「調理頻度」への着眼が、2本に共通する設計です。

画像を説明するテキストなくても可

(1)悪魔のうま塩唐揚げ――ヒット食材の組み合わせ×商品の新しい使い方

 ベースにしたのは、検索データで伸びていた「鶏むね肉×大葉」の組み合わせです。ここにSNSで人気の「悪魔の◯◯」というキーワードを掛け合わせながら、「鍋キューブ」を指で潰して下味にするという活用の広がりを一目で伝えるレシピに仕立てました。

 動画の冒頭は、鶏肉に大葉を揉み込むシーンから開始。「何が始まるのか」と続きを見たくなるフックを作りました。動画内では、下味と仕上げの「W使い」や、調理器具の中で味付けを完結させる工程など、視聴者にとっての“発見”を断続的に配置して離脱を防いでいます。また、投稿文の冒頭では「材料と洗い物の少なさ」をアピールし、前述した「作れそう」という条件を満たしました

 結果として、投稿直後から簡便さを評価する声や「作りたい」というコメントが相次ぎ、高いエンゲージメントを起点にフォロワー外へも再生が広がりました。

次のページ
(2)悶絶チャーハン――炊飯器完結ד炒めない”矛盾

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
「デリッシュキッチン」に学ぶ!売上を伸ばすSNSショート動画運用連載記事一覧
この記事の著者

株式会社エブリー「デリッシュキッチン」マーケティングソリューションズ(カブシキガイシャエブリー「デリッシュキッチン」マーケティングソリューションズ)

レシピ動画メディア「デリッシュキッチン」のマーケティングソリューション事業部門。メディア運営で得られるオンラインデータ(ユーザー属性、レシピ検索・閲覧行動など)と、食品卸・小売との連携で得られるオフラインデータ(実店舗購買データ)を掛け合わせた独自の「食生活行動ビッグデータ」を軸に、食品・飲料メーカーのマーケティン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2026/09/07 09:00 https://markezine.jp/article/detail/77169

Special Contents

PR

Job Board

PR

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング